嘘つき運命ごっこ
「違うよ、何かの作業を手伝って欲しいわけじゃないから」

「え?そうなの?あ、買い物か。おひとりさま何個限り?荷物持ちするよ」

「それも違う……」


出鼻をくじかれてしまって、ガクッと頭を落とす。

私から告白されるなんて、微塵も想定していない。

無理もない。

瑞貴からの「好き」を、いつも受け流してきたのは私自身。


だって、私たちは、お互いに運命の人が別にいるから。


不思議そうな顔をしている瑞貴を、真っ直ぐに見据える。


「大事な話なの。……聞いてくれる?」
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