嘘つき運命ごっこ
「芙結」

「ご、ごめん、今の待って!やり直しさせて!」

「俺、熱あるのかも」

「はい?」


ひとりで騒いでいる私をよそに、瑞貴はほぼ放心状態で、目も虚ろ。


「都合のいい聞き間違えしてる。芙結が、俺を好きって言ったみたいに聞こえた。多分、熱あるからだ」


言葉とは裏腹に、瑞貴の顔は青ざめている。


そうきたか。

上手くいかない。

もっといい雰囲気で、顔を赤らめて、可愛く告白して……なんて、全然思い通りにならない。

当たり前だ。
私が見えているものは、赤い糸だけで。

心の中まで見えているわけじゃないんだから。


「聞き間違えじゃないよ。私は、瑞貴が好きって言ったの」
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