嘘つき運命ごっこ
学さんの手のひらが乗っていたところを、余韻を確かめるために、自分でもさわってみる。


……あったかい。


「本当はね、私、学さんみたいなお兄ちゃんが欲しかったの」

「へー。よかったな、叶って」

「うん!」

「俺は、妹欲しいとか、思ったことなかったけど」

「そこは普通合わせるんだよ!」


くり出したポンコツな右ストレートは、ペチンとまぬけな音を立てて、学さんの手のひらでキャッチされた。
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