嘘つき運命ごっこ
「おい」

「えっ!?」


学さんは瑞貴の胸ぐらをつかんで、ドスの効いた低い声を出す。

突然のことに腰が引けた瑞貴は、冷や汗を流した。


「お前、俺の妹泣かしたら許さないからな」

「まっ、学さん!」


私の止める声を聞いたと同時に、ふんっと顎をしゃくって、学さんはひとりで通学路を歩いていった。


「ご、ごめん、瑞貴。普段は優しい人なんだよ」

「大丈夫、分かってるよ。いいお兄さんだよね」
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