嘘つき運命ごっこ
首が詰まってしまったのか、ケホッと小さく咳をしながら、瑞貴は学さんの背中を目で追った。


「気に入られたいなあ。結婚したら、俺のお兄さんにもなるしさ」


当たり前のように笑う顔に、面食らう。


「小さい頃と、言うこと変わんないよね。ほら、学校行こう」

「えー、本気なんだけど」


瑞貴の不満げな声を背中に聞きながら、右手を空にかざした。


小指に見えない、赤い糸。

その続く先は、きっと──。
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