嘘つき運命ごっこ
いざ声を聞くと、玄関に向かうのをためらってしまうけど、自分の右手を見て、ぐっとこぶしを作った。

よし……!


「お、おかえりなさい、学さん」


昨日同様、私たちの赤い糸は繋がっている。

彼が私の、運命の人。

学さんは、玄関に迎えに行った私の顔をチラッと一瞥(いちべつ)して、「どうも」と、素っ気なく返した。


なんというか、引かれている。

昨日の今日で、いきなり家族になれるわけではないだろうけど、原因は十中八九、昨日の私の発言のせいだろう。
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