嘘つき運命ごっこ
「若菜ちゃんと先輩は、黒い糸」
だから、あれは切れてよかった。
切れたほうが、よかった。
黒は、結ばれてはいけない相手だから。
青は、信頼。
「芙結ちゃんには、赤と青が一本ずつ」
図書室で見た、芙結の祖父母の写真。
ふたりにも、青い糸が結ばれていた。
ただ、芙結の祖母の指にだけは、とても薄い色の赤い糸も見えた。
長い間会わずにいると、糸は細く、色も薄れてしまう。
再会すればまた、はっきりと見えるようにはなるけれど。
見える力が弱いと、薄くなった糸は見ることが出来ないらしい。
それは全部、梨沙子と同じ力を持った、祖母から聞いたもの。
そして……
「……自分の赤い糸は、見えないんだよね」
梨沙子は、昨日の出来事を思い出して、口角を上げた。
「あれっ?リサ、おはよう。早いね」
教室の扉から聞こえた声に、梨沙子はぴょんと飛び跳ねるように席から離れ、満面の笑みを浮かべた。
目の前には、赤い糸で結ばれたふたりがいる。
「おはよう、芙結ちゃん、瑞貴くんっ!」
END
だから、あれは切れてよかった。
切れたほうが、よかった。
黒は、結ばれてはいけない相手だから。
青は、信頼。
「芙結ちゃんには、赤と青が一本ずつ」
図書室で見た、芙結の祖父母の写真。
ふたりにも、青い糸が結ばれていた。
ただ、芙結の祖母の指にだけは、とても薄い色の赤い糸も見えた。
長い間会わずにいると、糸は細く、色も薄れてしまう。
再会すればまた、はっきりと見えるようにはなるけれど。
見える力が弱いと、薄くなった糸は見ることが出来ないらしい。
それは全部、梨沙子と同じ力を持った、祖母から聞いたもの。
そして……
「……自分の赤い糸は、見えないんだよね」
梨沙子は、昨日の出来事を思い出して、口角を上げた。
「あれっ?リサ、おはよう。早いね」
教室の扉から聞こえた声に、梨沙子はぴょんと飛び跳ねるように席から離れ、満面の笑みを浮かべた。
目の前には、赤い糸で結ばれたふたりがいる。
「おはよう、芙結ちゃん、瑞貴くんっ!」
END