嘘つき運命ごっこ
四人がけのテーブルで、隣に座っている学さんを見ると、特に会話に混ざる気配もなく、黙々と食事をしている。

右利きの学さんが箸を動かすたびに、繋がる赤い糸もユラユラと揺れた。


「あ、お味噌汁もおいしい!」

「芙結ちゃんが、たくさんリアクションくれるの嬉しいな。学は、味の感想聞いても、いつも通りってしか言ってくれないんだもん」


直子さんの不満にも、当の本人は、「今日もいつも通り」と、あっさりと答えた。

このレベルの食事が通常モードだなんて、なんて贅沢な。


「芙結は、味噌汁によく出汁入れ忘れるもんな」

「ちょ、パパ、暴露しすぎ!」


赤い糸の相手に、料理下手なのがバレるでしょうが。
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