嘘つき運命ごっこ
夕飯の準備も終わったし、湯船にお湯も張ったし。

洗濯物は……今はない。


やることもなくなって、時刻は午後七時。

学さんは、昨日よりも帰るのが遅いみたい。


当然のように家で夕食をとるものだと思って、ふたり分の準備をしてしまったけれど、そんな言葉はひと言も交わしていないんだった。

どこかで食べてくるのかもしれないけど、今さら聞こうにも、連絡先は知らないし。


ため息をついて、窓に目をやる。

カーテンを閉めたから外の様子は見えないけど、雨が降り続いているのは音で分かる。


やだな……。

遠くの方で、雷が鳴っている。


リビングのソファーの上で体育座りをして、クッションを抱きしめながらテレビ画面を見つめる。

内容は入ってこない。
< 49 / 261 >

この作品をシェア

pagetop