嘘つき運命ごっこ
やだな。

こんな日にはいつも、思い出す。


『好きな人』の絵を描いて、校内の賞をとった画用紙を片手に、息を弾ませながら帰った小学生の私。

家に飛び込んで名前を呼んでも、返ってくるのは雨の音。

リビングの上には、置き手紙と離婚届。


あの日も、雷が鳴っていた。

あの日も、ひとりだった。


ゴロゴロと雷鳴が唸って、全身がビクッと震える。
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