嘘つき運命ごっこ
ドン!と、大きな落下物のような音と共に、家中の明かりが一瞬で全て消えた。


「どこか近くに落ちたな。停電か……、困ったな」


冷静な物言いを聞きながら、私はその場でしゃがみこんでしまった。


「おい?なに……」

「ご、ごめんなさい……、私、雷がちょっと苦手で……」


いつまで待っても帰ってこない母。

鳴り響く雷鳴。

真っ暗な部屋で、目を閉じて、耳を塞いで。

夜遅く、パパが帰ってくるまでずっと、ひとりぼっち。


もう、すっかり慣れたはずなのに。

あれからずっと、雷だけは……。


「ごめんなさい、放っておいて大丈夫だから……」


頑張って少しだけ口角を上げてみたけれど、顔を伏せていたせいで見えなかったかもしれない。


「だから泣いてたのか」


ボソッと呟いた学さんは、その場から去るどころか、私のそばに座った。
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