嘘つき運命ごっこ
「雷、怖い?」


思いがけず優しい声に、顔を上げる。

暗くて、よく見えない。


「は、はい……。私が小学生の時に、ママが出ていって。……その日も、雷が鳴ってたから、なんかトラウマになっちゃって」


えへへ。と、強がって笑ってみせるけど、


「泣くくらい辛いのに、無理して笑わなくていい」


学さんに無表情で諭(さと)されたから、スッと口角を下げた。

見られてたんだ……。
< 55 / 261 >

この作品をシェア

pagetop