嘘つき運命ごっこ
「そっちの……栄一さんは、再婚は初めて?」


私が質問をする側だと思っていたから、まさかの疑問符を投げかけられて、「え?」と声が漏れた。


「うん、うちのパパは、直子さんがふたり目の奥さんだけど……」

「俺は、もう父親が四人目」

「えっ!?」


ため息と共に吐き出された言葉に、迷惑なくらいの声を上げてしまった。

直子さん、パパの赤い糸にたどり着くまでに、苦労したんだな……。

見てもいないのに、勝手にそんな想像をしてしまう。


「だから、どうせまたうちの母さんは別れるし、また別な人と結婚する。この家族も、長くは続かない。それなら、他人だと思ってた方が楽だから」
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