嘘つき運命ごっこ
パパと直子さんの赤い糸が繋がっていて、嬉しかったのは、本当。

でも……。


「パパには、ずっとママだけを好きでいて欲しかった」


ああ、そっか。

だから、私は泣いてるんだ。


「パパとママの赤い糸が繋がっていて欲しかった……」


いつかママがまたここに戻ってきても、いつでも向かい入れられるようにって、頑張ってきたのに。

小学生の頃から、皆が遊んでいても全部断って、家事に費やして、ひとりぼっちでパパの帰りを待つ毎日。

でも、大丈夫。
きっとすぐにママは帰ってくるって、ずっと自分に言い聞かせていた。

それなのに、パパは直子さんを見つけた。

パパは、ママがいなくても平気だったんだ。

待ち続けていたのは、私だけ。


パパに幸せになって欲しいのは、本当。


でも、パパとママと……私の三人で。

それを、ずっと願っていた。
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