嘘つき運命ごっこ
「電気、まだつかないな。俺、部屋に置型のライトあるから、持って……」


学さんが言葉を止めて、立ち上がる途中で振り返った。

それは、私が服をつかんで引き止めたから。

目の前に、自分の右手から伸びた赤い糸が見える。

繋がる、その先は……。


「ご、ごめんなさい……!」


つかむ手をとっさに離して、すぐに鳴り響いた雷に、ビクッと身を縮めた。


「……来る?あんたも一緒に」

「!」


仕方なしにかけられた情けに、私はぴょんと跳ねるように立ち上がった。
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