嘘つき運命ごっこ


「おはよー芙結、昨日大丈夫だった?」


チャイムの主は予想した通りに瑞貴で、並んで学校に向かう途中で、心配そうな表情で顔を覗き込まれた。


「大丈夫って?」

「だって芙結、雷苦手じゃん。停電も困らなかった?」


ギクッと心臓が強ばる。

雷のこと、何で知ってるんだろう。

瑞貴に話したことは、なかったはずなんだけど。


「うん、大丈夫。学さん……、あ、新しいお兄ちゃんね。学さんがそばにいたから」


三日間もふたりきりだなんて、どうなることかと思っていたのに。

雷は怖かったけど、ふたりの距離が縮まったから結果的にはよかったのかな。
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