嘘つき運命ごっこ
苦笑いで若菜に答え、再び前を向く。

杉尾先輩の背中も、すっかり小さくなっていた。


「それよりも、たまたま会っただけで声かけてくれるなんて、杉尾先輩と結構仲いいんじゃない?」

「ううん、私は美奈実先輩の後輩だから、覚えてもらってるだけ。さっきも、ずっと美奈実先輩の話してたんだ」


語尾にいくにつれて、若菜の声が小さく、か細くなっていく。


好きな人に、他の女の子……しかも、彼女の話をされたら辛いに決まってる。


でも……。


うつむき加減の若菜の手をギュッと握る。


「大丈夫だよ。昨日も言ったでしょ。杉尾先輩は、きっと若菜を好きになる。だから頑張って」


若菜は少し驚いた表情を見せて、困ったように笑った。
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