嘘つき運命ごっこ
玄関を開けるとすぐそこで、パパがソワソワとした様子で、グルグルと円を描くように歩いていた。


「うおっ、なんだ、芙結か」

「ごめん、芙結で。まだ新しいママとお兄ちゃん、来てないの?」

「まぁな。約束の時間はまだだからな」


ケータイで時間を確認すると、まだ約束の三十分前。


さすがに、人の家に三十分もフライングしてくる客人はいないだろう。


だけど、パパは尚も落ち着かない様子で、グルグル回り続ける。

右手から伸びた赤い糸も、グルグル体に巻き付いてる。


なんか……パパ可愛いな。

微笑ましくて、フッと笑う。


「っ、いた……」

「なんだ?芙結、どうした?」

「ううん、なんでもない……」


ぶつけたりしてないのに、ギュッとしめつけられるみたいに、右手の小指が痛くなった。

なんだろう、今まで、こんなことなかったのに……。
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