嘘つき運命ごっこ


瑞貴に遅れて教室に入ると、私の席でリサと瑞貴が何かを話していた。

ふたりきりでいるなんて、めずらしい。

特にリサは、たとえ相手が瑞貴だとしても、私を抜きにして男子とふたりきりになりたがらないのに。


「あ、芙結」


瑞貴が私に気づき、手を振る。

自分の席に向かい、かばんを置いた。


「若菜ちゃん、大丈夫だった?なんか、思いつめた顔してたよね」

「うん、ちょっとね、悩みがあったみたいで」

「あ、もしかして、また恋愛相談?芙結、昔からよく女子に頼られてたもんね」

「瑞貴には秘密だよ。簡単に教えられることじゃないんだからね」

「はーい」


話の輪に入りきれないリサが、「若菜ちゃん?」と、首をかしげる。
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