嘘つき運命ごっこ
「おかえりなさい」


そうやって笑顔で迎えたつもりなのに、学さんは驚いたように目を見開く。


「え?なに?私の顔に何か?」

「あ、いや、……ただいま」

「はい」


学さんがこの家に来て、「ただいま」ってなんか変な感じ。


初日なんか、「お邪魔します」だったし。

その変化だけでも、嬉しく感じるものなんだな。


「学さん、今帰ってきてくれて、ちょうどよかった。今日の夜ね、オムライスにしようと思ってたの。好きじゃなかったら、今ならまだ変更出来るよ」

「いや、普通に好きだから……。ありがとう」

「よかった。先にお風呂に行って休んでいいよ、……って言いたいところなんだけど、まだ湯船が空なんだ。もうちょっと待っててね」

「え、家事、全部ひとりでやらなくても」


思いもよらない学さんの言葉に、

「え」

と、声を漏らす。


「え?」

それを聞いた学さんまでも、同じ反応に。
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