嘘つき運命ごっこ
パパが玄関先でグルグルやってる間に、私はリビングで待つことにした。

いつもならすぐに制服は着替えてしまうのだけど、今日だけはそのまま。

こういうちゃんとした場では、制服の方がいいんだもんね、確か。

どんな人かな。お兄ちゃんって。

仲良くなれるかな。
ずっと兄弟がほしかったから、楽しみ。


「いたっ……!」


まただ……。

右手の小指が痛い。

こんなこと、今までになかったから、見えない糸の先の相手に何かあったのかと、不安になる。

なんて、そんなことが感じられる能力があるのかは、謎だけど。


というか、パパはまだグルグルしてるのかな。

玄関から移動した気配はない。


ひとりで黙っていると落ち着かなくて、テレビをつけた。

一年前のドラマの再放送をやっている。
< 9 / 261 >

この作品をシェア

pagetop