兵士となった幼馴染の夫を待つ機織りの妻
雪乃は着物の衿元をしっかり握るけれど、力の強い男には敵わない。大声を上げる間もなく、誠一はにじり寄ると雪乃の腕を持った。
「やっ、やめてっ!」
「へへっ、今頃あんたの夫だって、新しい嫁とよろしくやってんだ。俺がお前を貰ってやると言ったのに、親父の奴……!」
「嫌っ、はなしてっ」
再び家の中に引き込まれ、居間に転がされる。きつく結んでいた帯を解かれると、腰あてを引きちぎられた。細い締め帯をつかい手首を縛られると、抵抗もままならない。
それでも雪乃は足をばたつかせ、誠一のまたぐらを狙い膨らんでいた金玉を蹴り上げた。
「うぐっ……こ、この野郎」
痛みで腰を丸めているが、かえって男の加虐心に火をつけるだけだった。雪乃の上にのしかかった誠一は、目の色を怪しげに変え下卑た笑いを零す。
「へっ、へへっ……いい顔だぜ」
恐怖に染まる雪乃を見下ろし、殴ろうと腕を上げて振り下ろそうとする。——その瞬間。
「雪乃っ!」
玄関が乱暴に開かれると同時に懐かしい声が聞こえる。玄関から入ってくる軍服姿を認めた途端、雪乃の上にいた誠一が消えた。
「っ、ぐえっ」
「やっ、やめてっ!」
「へへっ、今頃あんたの夫だって、新しい嫁とよろしくやってんだ。俺がお前を貰ってやると言ったのに、親父の奴……!」
「嫌っ、はなしてっ」
再び家の中に引き込まれ、居間に転がされる。きつく結んでいた帯を解かれると、腰あてを引きちぎられた。細い締め帯をつかい手首を縛られると、抵抗もままならない。
それでも雪乃は足をばたつかせ、誠一のまたぐらを狙い膨らんでいた金玉を蹴り上げた。
「うぐっ……こ、この野郎」
痛みで腰を丸めているが、かえって男の加虐心に火をつけるだけだった。雪乃の上にのしかかった誠一は、目の色を怪しげに変え下卑た笑いを零す。
「へっ、へへっ……いい顔だぜ」
恐怖に染まる雪乃を見下ろし、殴ろうと腕を上げて振り下ろそうとする。——その瞬間。
「雪乃っ!」
玄関が乱暴に開かれると同時に懐かしい声が聞こえる。玄関から入ってくる軍服姿を認めた途端、雪乃の上にいた誠一が消えた。
「っ、ぐえっ」