兵士となった幼馴染の夫を待つ機織りの妻
一度離れた唇を寂しく思う間もなく、再び厚みのある熱が重ねられる。唇の裏側の柔らかい部分を食むように口づけ、官能を引き出すように舌先がうごめく。
潤んだ瞳で彼を見つめると、うぐっと男らしい喉ぼとけを上下させた。目元がうっすらと赤くなっている。
「雪乃、もっと触れていたいが……日の高いうちにここを出たい」
「ここを出る?」
「ああ、すまない。……雪乃に会うために、何人か殴り飛ばしてきた」
目を大きく開けて瞬かせた雪乃の背をゆっくりと撫でながら、清隆は口を開く。
「村長はお前を逃すといいながら、娼館に売り飛ばす気だった。隣町の家に行けば最後、人買いが来て連れていかれただろう」
「……そんな」
時折、村から若い娘がいなくなることがあった。貧しさ故に、村を出ていったのかと思ったけれど、人の良さそうな村長に騙されたのかもしれない。道行の小銭を貰えば、都までいけると思ったのだろう。——雪乃のように。
「それに、軍からも兵隊を続けろと言われている。本部付になるから、この村にいるよりも楽になる。雪乃、俺と一緒に都に行こう」
「……都に?」
「そうだ」
潤んだ瞳で彼を見つめると、うぐっと男らしい喉ぼとけを上下させた。目元がうっすらと赤くなっている。
「雪乃、もっと触れていたいが……日の高いうちにここを出たい」
「ここを出る?」
「ああ、すまない。……雪乃に会うために、何人か殴り飛ばしてきた」
目を大きく開けて瞬かせた雪乃の背をゆっくりと撫でながら、清隆は口を開く。
「村長はお前を逃すといいながら、娼館に売り飛ばす気だった。隣町の家に行けば最後、人買いが来て連れていかれただろう」
「……そんな」
時折、村から若い娘がいなくなることがあった。貧しさ故に、村を出ていったのかと思ったけれど、人の良さそうな村長に騙されたのかもしれない。道行の小銭を貰えば、都までいけると思ったのだろう。——雪乃のように。
「それに、軍からも兵隊を続けろと言われている。本部付になるから、この村にいるよりも楽になる。雪乃、俺と一緒に都に行こう」
「……都に?」
「そうだ」