兵士となった幼馴染の夫を待つ機織りの妻
雪乃は清隆の着ている軍服を見た。黒い肩章に垂れる飾り帯に、厚みのある黄土色の生地。村の誰よりも凛々しく、洗練されている。腰に下げていたサーベルがカチャリと硬い音を立てる。
「本当に、一緒にいられるの?」
「ああ。機織り機は持っていけないが……都に行ったら、探してみよう」
雪乃は頭を左右に振った。そんなことよりも、一緒にいられることの方が大切だ。
「いいの、もう。あなたがいれば、それでいいの」
雪乃は腕を伸ばすと広い背中を抱きしめる。この温もりから離れまいと、しっかりと腕を巻きつけた。
◆◆◆
馬を走らせ、二人は都に向かう。隣町にある警備隊に村長の親戚宅を教え、人さらいを取り締まるように伝える。清隆の胸にある勲章を見た警備隊長は、ふんぞり返っていた態度を瞬時に変え、バッタのように頭を何度も下げていた。
「ねぇ、清隆さん。隊長さんはあなたを見て驚いていたけど、どうして?」
「あー、多分これだろうな」
清隆は肩につけていた徽章を指さした。出世をしたと聞いたけれど、雪乃は軍のことは詳しくない。
「本当に、一緒にいられるの?」
「ああ。機織り機は持っていけないが……都に行ったら、探してみよう」
雪乃は頭を左右に振った。そんなことよりも、一緒にいられることの方が大切だ。
「いいの、もう。あなたがいれば、それでいいの」
雪乃は腕を伸ばすと広い背中を抱きしめる。この温もりから離れまいと、しっかりと腕を巻きつけた。
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馬を走らせ、二人は都に向かう。隣町にある警備隊に村長の親戚宅を教え、人さらいを取り締まるように伝える。清隆の胸にある勲章を見た警備隊長は、ふんぞり返っていた態度を瞬時に変え、バッタのように頭を何度も下げていた。
「ねぇ、清隆さん。隊長さんはあなたを見て驚いていたけど、どうして?」
「あー、多分これだろうな」
清隆は肩につけていた徽章を指さした。出世をしたと聞いたけれど、雪乃は軍のことは詳しくない。