兵士となった幼馴染の夫を待つ機織りの妻
 家族といっても、新しく所帯を持ちたいという。次男の彼は、もう二十歳となり独立する時期だ。ならば雪乃と結婚して、家を出るという。

「この家も、親父に頼んで俺が譲り受ける。雪乃はこのまま、この家にいればいい。俺が新しい家族になる」
「……いいの? 私、何にも持っていないよ? 結納金もないし、親もいないし」
「そんなの、関係ない。雪乃がいてくれさえすれば……俺、がんばるから」

 両親がいなくなり、ぽっかりと空いた心の空洞に清隆が入り込む。男らしく、力強い腕に抱き寄せられ、雪乃は胸元に顔を埋めた。父親より大きな手が雪乃の頭をそっと撫でる。

「うっ……ううっ……ぁ」

 不安と恐れが入り交ざった気持ちが、涙と共に流れていく。清隆という(庇護者)を得た雪乃は、村に残り機織りを続けることができた。

 そして兄と慕っていた清隆の手によって、雪乃は女として目覚めていく。内輪だけの祝言を挙げた後、清い身体を暴かれた彼女は毎夜嬌声を上げ、初めて閨事を知った夫を夢中にさせた。


 ◆◆◆


< 4 / 22 >

この作品をシェア

pagetop