追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「私も寂しかったですわ。ところで、ロア様は本日は何をなさっていたのですか?」
本当はすっごく充実してたんだけど、そんな事は言えないので共感を示しつつ、ヒロインに王子ルートに行かせるべく情報収集を開始する。
ていうか、今更だけど週1のお茶会って多くない? 悪役令嬢がこれだけ勉強詰め込んでるのに、王子暇なの?
いや、そんな事あるはずがないわ。だってまだ11歳になられたばかりのお兄様ですら、お父様の公務に付き合ったり、社交に勤しんだり、魔法省でお忙しくお仕事をされているというのに、メイン攻略キャラである王子様がお暇なわけ……ない、よね?
あれ? なんか自信がなくなってきたぞ?
「んー今日はリティーが久しぶりに来るからお茶会の手配をしていたよ。ほら、このお花とかテーブルクロスを選んだりとか」
褒めてとばかりにニコニコ笑うロア様。
ほう、いい趣味してますね。確かに私好み……って違う! それは王子の仕事じゃないからっ!!
「えーっと、本日はお勉強や公務のご予定は?」
「え? リティーが来るのにするわけないじゃないか。勉強なんて、つまらないし」
キラキラキラキラっとした笑顔が眩しい。
一点の曇りもなく当然とばかりに言い切りやがりましたね、ロア様。
ハイ、アウトーー!!
「ふ、ふふ、あはははっ」
「リ、リティカ?」
乾いた黒い笑みを漏らす私にロア様は不審げに声をかける。
そう、ゲームを思い返せば思い返すほど疑問だったことがある。
この乙女ゲームのヒロイン、ライラちゃんは自立している無双系ヒロインだ。昨今話題の小説なんかに出てくる脳内お花畑ヒロインと違って常識人だったと記憶している。
王子と結ばれるのだって悪役令嬢断罪後だ。断じて二股ではない。
だから推せた。なんなら今も推している。だというのに、何でその常識人が婚約者のいる王子様と悪役令嬢を断罪してハッピーエンドを迎えるんだろう、って。
「解:原因、お前かぁぁぁぁ!!!!」
怒りでうっかりティーカップ叩き割りそうだった私は盛大にため息をついて落ち着けと自分に言い聞かせる。
まぁ、普通に考えて一般庶民が王子に迫られて『だが、断る』なんて言えるわけないわよね?
ゲームの強制力怖っと運営様の設定に慄きつつ、このままではマズイと私は頭を抱える。
公衆の面前で独断断罪イベントやるだなんて、だいぶチャレンジャーだなとは思っていたのだけれど、すでにこの時にはその阿呆の片鱗があったのかとため息しか出てこない。
「リ、リティー……一体どうしたの?」
私の剣幕に怯えたようにロア様が声を上げる。
ダメよ、リティカ。落ち着いて。少々問題アリだとしても相手はまだ9歳。中身スッカスカでも美少年ってことでプラマイゼロ。マイナスに張り切ってないなら改善の余地アリのはずだわと私は自分を宥めると、
「ロア様、私行きたいところがございますの。今すぐに」
悪役令嬢らしく冷たくそう告げる。
「えっ、あ、うん。いってらっしゃい」
「何をおっしゃっているの? ロア様も行くのですよ」
この際不敬罪とかどうでもいいわ。とブチギレ一歩手前の私はお兄様譲りの秘技絶対零度の視線で有無を言わさずロア様の手を取ると早急に事態に対応すべく歩き出した。
本当はすっごく充実してたんだけど、そんな事は言えないので共感を示しつつ、ヒロインに王子ルートに行かせるべく情報収集を開始する。
ていうか、今更だけど週1のお茶会って多くない? 悪役令嬢がこれだけ勉強詰め込んでるのに、王子暇なの?
いや、そんな事あるはずがないわ。だってまだ11歳になられたばかりのお兄様ですら、お父様の公務に付き合ったり、社交に勤しんだり、魔法省でお忙しくお仕事をされているというのに、メイン攻略キャラである王子様がお暇なわけ……ない、よね?
あれ? なんか自信がなくなってきたぞ?
「んー今日はリティーが久しぶりに来るからお茶会の手配をしていたよ。ほら、このお花とかテーブルクロスを選んだりとか」
褒めてとばかりにニコニコ笑うロア様。
ほう、いい趣味してますね。確かに私好み……って違う! それは王子の仕事じゃないからっ!!
「えーっと、本日はお勉強や公務のご予定は?」
「え? リティーが来るのにするわけないじゃないか。勉強なんて、つまらないし」
キラキラキラキラっとした笑顔が眩しい。
一点の曇りもなく当然とばかりに言い切りやがりましたね、ロア様。
ハイ、アウトーー!!
「ふ、ふふ、あはははっ」
「リ、リティカ?」
乾いた黒い笑みを漏らす私にロア様は不審げに声をかける。
そう、ゲームを思い返せば思い返すほど疑問だったことがある。
この乙女ゲームのヒロイン、ライラちゃんは自立している無双系ヒロインだ。昨今話題の小説なんかに出てくる脳内お花畑ヒロインと違って常識人だったと記憶している。
王子と結ばれるのだって悪役令嬢断罪後だ。断じて二股ではない。
だから推せた。なんなら今も推している。だというのに、何でその常識人が婚約者のいる王子様と悪役令嬢を断罪してハッピーエンドを迎えるんだろう、って。
「解:原因、お前かぁぁぁぁ!!!!」
怒りでうっかりティーカップ叩き割りそうだった私は盛大にため息をついて落ち着けと自分に言い聞かせる。
まぁ、普通に考えて一般庶民が王子に迫られて『だが、断る』なんて言えるわけないわよね?
ゲームの強制力怖っと運営様の設定に慄きつつ、このままではマズイと私は頭を抱える。
公衆の面前で独断断罪イベントやるだなんて、だいぶチャレンジャーだなとは思っていたのだけれど、すでにこの時にはその阿呆の片鱗があったのかとため息しか出てこない。
「リ、リティー……一体どうしたの?」
私の剣幕に怯えたようにロア様が声を上げる。
ダメよ、リティカ。落ち着いて。少々問題アリだとしても相手はまだ9歳。中身スッカスカでも美少年ってことでプラマイゼロ。マイナスに張り切ってないなら改善の余地アリのはずだわと私は自分を宥めると、
「ロア様、私行きたいところがございますの。今すぐに」
悪役令嬢らしく冷たくそう告げる。
「えっ、あ、うん。いってらっしゃい」
「何をおっしゃっているの? ロア様も行くのですよ」
この際不敬罪とかどうでもいいわ。とブチギレ一歩手前の私はお兄様譲りの秘技絶対零度の視線で有無を言わさずロア様の手を取ると早急に事態に対応すべく歩き出した。