追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
46.悪役令嬢と父と兄。
「ああ、そうだ。リティカ、今度の夜会は新しいドレスを仕立てないかい? リティカにはバイオレットカラーでハイネックのエンパイアラインのドレスなんて似合うんじゃないかなって思ってるんだ」
と唐突にお父様は提案する。
まぁお父様が可愛い私に課金したがるのはいつもの事だけど。
「……夜会? 近々ドレスを仕立て直す必要があるほど大きなモノがありましたっけ?」
お父様の発言にはてと私は首を傾げる。
私の把握している限りそんな大きな催しはなかった。あれば婚約者の私に対してロア様からパートナーとして同伴のお誘いがあるはずだし。
「ああ、近々イーシスが2つ目の星を授与されるからね。叙勲式だよ」
「師匠……が? えー!? えーーーー!!!! 本当ですか!?」
私は驚き過ぎて思わず大きな声を上げる。そんな私をマナー違反だなんて当然窘めないベタ甘なお父様は、静かに笑って本当だよと言った。
星とは大きな功績を上げた魔術師に国から与えられる称号。
すでに師匠は一つ星を持っていて、褒賞として魔法伯の身分を授与されている。
2つ星には魔術師としての二つ名が与えられ、魔術師として様々な特権を行使できるようになる。
そして、魔術師として高みに登り詰めたといえる3つ星ともなれば国の歴史をさらっても数えるほどしかおらず、現在この国にその保持者は存在しない。
「わぁーすごいっ! お祝いしなきゃ。この前冷やかしに行った時教えてくれたら良かったのに」
師匠はまだ28才。年齢から考えてもかなりのスピード出世だ。
「はは、無理じゃないかな」
「はっ、そうですわよね。まだ正式発表前なのでしょうし。それにしても一言くらい、可愛い弟子にうっかり漏らしてくれても。もしくはそわそわ浮かれる様子くらい見せてくれてもいいのに」
私はそう言って秘密主義な師匠に頬を膨らませる。
まぁ、エリィ様および娘2人が関わる案件以外割と淡々とこなす師匠の浮かれる様子なんて想像できないけれど。
「いやそうじゃなくて、本人まだ知らないからねぇ」
漏らしようがないかなーとお父様は笑う。
「……本人が知らない情報をこんな所でペロッと漏らすのやめてください、お父様」
授与は強制ではなく、一応本人にお伺いするモノらしい。
権利、とは義務と表裏一体の代物だから。
まぁ、星授与の辞退なんて有り得ないだろうけど、本人に打診すらしていない情報を決定事項として子どもに漏らすなんて、お父様は私達の寿命を縮めたいのかしら? と頭を抱えたくなる。
思わずチラッと隣に視線をやるが、お兄様は相変わらず無表情で淡々とお茶を飲んでいるだけだった。
と唐突にお父様は提案する。
まぁお父様が可愛い私に課金したがるのはいつもの事だけど。
「……夜会? 近々ドレスを仕立て直す必要があるほど大きなモノがありましたっけ?」
お父様の発言にはてと私は首を傾げる。
私の把握している限りそんな大きな催しはなかった。あれば婚約者の私に対してロア様からパートナーとして同伴のお誘いがあるはずだし。
「ああ、近々イーシスが2つ目の星を授与されるからね。叙勲式だよ」
「師匠……が? えー!? えーーーー!!!! 本当ですか!?」
私は驚き過ぎて思わず大きな声を上げる。そんな私をマナー違反だなんて当然窘めないベタ甘なお父様は、静かに笑って本当だよと言った。
星とは大きな功績を上げた魔術師に国から与えられる称号。
すでに師匠は一つ星を持っていて、褒賞として魔法伯の身分を授与されている。
2つ星には魔術師としての二つ名が与えられ、魔術師として様々な特権を行使できるようになる。
そして、魔術師として高みに登り詰めたといえる3つ星ともなれば国の歴史をさらっても数えるほどしかおらず、現在この国にその保持者は存在しない。
「わぁーすごいっ! お祝いしなきゃ。この前冷やかしに行った時教えてくれたら良かったのに」
師匠はまだ28才。年齢から考えてもかなりのスピード出世だ。
「はは、無理じゃないかな」
「はっ、そうですわよね。まだ正式発表前なのでしょうし。それにしても一言くらい、可愛い弟子にうっかり漏らしてくれても。もしくはそわそわ浮かれる様子くらい見せてくれてもいいのに」
私はそう言って秘密主義な師匠に頬を膨らませる。
まぁ、エリィ様および娘2人が関わる案件以外割と淡々とこなす師匠の浮かれる様子なんて想像できないけれど。
「いやそうじゃなくて、本人まだ知らないからねぇ」
漏らしようがないかなーとお父様は笑う。
「……本人が知らない情報をこんな所でペロッと漏らすのやめてください、お父様」
授与は強制ではなく、一応本人にお伺いするモノらしい。
権利、とは義務と表裏一体の代物だから。
まぁ、星授与の辞退なんて有り得ないだろうけど、本人に打診すらしていない情報を決定事項として子どもに漏らすなんて、お父様は私達の寿命を縮めたいのかしら? と頭を抱えたくなる。
思わずチラッと隣に視線をやるが、お兄様は相変わらず無表情で淡々とお茶を飲んでいるだけだった。