追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「リティカとこんな時間に一緒にいるなんて、子どもの頃に熱を出した時以来だね。ちょっとワクワクする」
「覚えて……らっしゃるの、ですか?」
魔障の症状でよく寝込んでいた幼少期の頃の事を、と私は驚いて目を瞬かせるが、
「それは……まぁ。子どもの頃のリティカは俺と会った後に度々熱を出してたから」
と私が思っていたのとは違う過去の話をされる。
確かに、前世の記憶を取り戻して以降度々原因不明の熱を出していたけれど、そんな時は大概過保護なお父様に面会謝絶の上軟禁生活を強いられていたはずなので、私には倒れた後の体調不良時にロア様とお会いした記憶がない。
「私、どなたともお会いした記憶が……そもそもこんな時間帯に私にベタ甘のお父様が誰かを通すとは思えないのですけれど」
お兄様ですらなかなか会えなかったのに、と記憶を掘り起こし、ふとある事を思い出す。
そういえば夜中にふと熱に浮かされながら目が覚めた時、誰かに手を握ってもらった夢を何度か見た事がある。
夢が現か判別がつかないそんな事があった後は、何故かすごく飲みやすい薬草茶が用意されていた。
「……一体どうやって?」
「セザールを買収した上でカーティスの夜勤帯を狙って」
ちなみに薬草茶は母上に習って作ってみたとこっそり見舞いに行っていたとロア様は私の知らない話を少しばつが悪そうに話す。
私の知らない間にメアリー様も巻き込んでお兄様と結託していたらしい。
当主不在を狙って不法侵入など、いくら婚約者とはいえ"おまわりさん、コチラです"案件だ。
「全く、お父様にバレたら怒られるどころの騒ぎではありませんでしたよ?」
全然気づかなかった、私の知らない過去の話。
「だいたい、そんなにこっそり来なくても、起こしてくださればよかったではないですか」
高熱が出ても私の場合せいぜい1日2日で回復する。
どうせなら一番酷い時を外して来てくれたらよかったのに、と頬を膨らませる私に。
「無理、させたくなくて。リティカの熱も失神も大抵俺が原因だから」
謝りたくても、それも許されなかったからとロア様は静かに微笑む。
「ロア様が?」
聞き返しても微笑むだけでそれ以上ロア様の口から言葉は溢れて来ない。
という事は私が聞いていいギリギリのラインの話なのだろうと察して私は追求をやめた。
「覚えて……らっしゃるの、ですか?」
魔障の症状でよく寝込んでいた幼少期の頃の事を、と私は驚いて目を瞬かせるが、
「それは……まぁ。子どもの頃のリティカは俺と会った後に度々熱を出してたから」
と私が思っていたのとは違う過去の話をされる。
確かに、前世の記憶を取り戻して以降度々原因不明の熱を出していたけれど、そんな時は大概過保護なお父様に面会謝絶の上軟禁生活を強いられていたはずなので、私には倒れた後の体調不良時にロア様とお会いした記憶がない。
「私、どなたともお会いした記憶が……そもそもこんな時間帯に私にベタ甘のお父様が誰かを通すとは思えないのですけれど」
お兄様ですらなかなか会えなかったのに、と記憶を掘り起こし、ふとある事を思い出す。
そういえば夜中にふと熱に浮かされながら目が覚めた時、誰かに手を握ってもらった夢を何度か見た事がある。
夢が現か判別がつかないそんな事があった後は、何故かすごく飲みやすい薬草茶が用意されていた。
「……一体どうやって?」
「セザールを買収した上でカーティスの夜勤帯を狙って」
ちなみに薬草茶は母上に習って作ってみたとこっそり見舞いに行っていたとロア様は私の知らない話を少しばつが悪そうに話す。
私の知らない間にメアリー様も巻き込んでお兄様と結託していたらしい。
当主不在を狙って不法侵入など、いくら婚約者とはいえ"おまわりさん、コチラです"案件だ。
「全く、お父様にバレたら怒られるどころの騒ぎではありませんでしたよ?」
全然気づかなかった、私の知らない過去の話。
「だいたい、そんなにこっそり来なくても、起こしてくださればよかったではないですか」
高熱が出ても私の場合せいぜい1日2日で回復する。
どうせなら一番酷い時を外して来てくれたらよかったのに、と頬を膨らませる私に。
「無理、させたくなくて。リティカの熱も失神も大抵俺が原因だから」
謝りたくても、それも許されなかったからとロア様は静かに微笑む。
「ロア様が?」
聞き返しても微笑むだけでそれ以上ロア様の口から言葉は溢れて来ない。
という事は私が聞いていいギリギリのラインの話なのだろうと察して私は追求をやめた。