追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「その気持ちは少し分かるわ。私だって嫌になる事、沢山あるもの」
自分でロア様の婚約者になっておいてなんだけど、王太子妃になりいずれ王妃として国民を導く国母になるだなんて、考えただけで胃がきりきりするし。
私はメアリー様のようにはなれないわと心から思う。人前に出るのも目立つのも本当は苦手だし。
スチル回収しつつ、お父様みたいに裏でアレコレ画策してこっそり推しを愛でるくらいが私には合っている。
「多分、そんな日は私だけじゃなくてロア様にもあると思うわ」
「あんなに完璧人間な王子様にも?」
私は頷いて、内緒よ? とライラちゃんに囁く。
「確かに何もかもが嫌になる時も、全部を放り出してしまいたくなる日も、あるけれど」
『愛しているの』
自分が死ぬと分かっていても、そう言って私を産んでくれたお母様。
私にベタ甘なお父様も、ツンデレなお兄様も、悪役令嬢強火担なセドも、公爵令嬢として私を扱わない師匠やエリィ様達も。
そして想い人に出会った今もまだ婚約者を続けてくれているロア様も。
みんな、みんな、私を大事に思ってくれている事を知っているから。
「私は、私を愛してくれている人達に恥じない"私"でありたいと思うの」
私も、愛しているから。
だから、私は逃げない。
たとえ、自分に配られた配役が"悪役令嬢"であったとしても。
リティカ・メルティーの名に恥じない私でいたいから。
「課せられた運命が重くても、ライラなら吹き飛ばせるわよ。だってあなたなんだかんだいいつつちゃんと私のレッスンについて来れてるじゃない」
大丈夫、と私はこの国の未来を背負うライラちゃんに笑いかける。
「私、ライラの直球で破壊魔なところも結構気に入っているわ。これから先もあなたを取り巻く環境は目まぐるしく変わるでしょう。だけど、これから先のライラの軸になる部分が今のあなたのままなら私は嬉しいと思うわ」
かつて、メアリー様に言われた言葉になぞらえて、私は悩み多きヒロインに言葉を贈る。
"あなたは、あなたらしく自分にできる事をすればいいの"
きっと、メアリー様はこう言いたかったのね、と今なら分かる。
誰からの肯定はそれだけで少しだけ前向きになれると私は知っている。
だから、今度は私がその背を押したい。
翡翠の大きな瞳に私を写したライラちゃんは、ゆっくり何度も目を瞬かせ、
「じゃあ私、リティカ様の秘密基地にお呼ばれしても恥ずかしくないくらいしっかりマナーを覚えます」
私に本を見せながらライラちゃんはそう決意表明をする。
「だから、もっと、沢山、これからも私にお勉強を教えてくださいますか?」
沢山の本を抱えているなとは思っていたけれど、自主学習用だったらしい。
「ふふ、私でよければ喜んで。ああ、でも魔法の事はロア様に習うといいわ」
最近よく一緒にいるでしょう? と私は尋ねる。
「学園祭の準備とか、魔法の授業でペアになるから一緒にいるだけで、別にやましい事は一切ないです!!」
はっとしたようにライラちゃんは全力で噂を否定する。
まぁ、確かに私はまだロア様の婚約者ですしね。
でもライラちゃんにはちゃんと私はロア様の風避けでしかないと伝えたわけだし、せっかくロア様といる時間が持てるように裏で画策してる身としては、やましい事があってもいいんだけど。
「うん、でも両片思いのすれ違いパターンも私的には尊くて有りよりの有りね」
学園祭の演劇ものすごく期待してるからと映像記録水晶を取り出す私に、
「えーっと、ご期待に添えるようにがんばります?」
若干困惑気味にライラちゃんは微笑んだ。
自分でロア様の婚約者になっておいてなんだけど、王太子妃になりいずれ王妃として国民を導く国母になるだなんて、考えただけで胃がきりきりするし。
私はメアリー様のようにはなれないわと心から思う。人前に出るのも目立つのも本当は苦手だし。
スチル回収しつつ、お父様みたいに裏でアレコレ画策してこっそり推しを愛でるくらいが私には合っている。
「多分、そんな日は私だけじゃなくてロア様にもあると思うわ」
「あんなに完璧人間な王子様にも?」
私は頷いて、内緒よ? とライラちゃんに囁く。
「確かに何もかもが嫌になる時も、全部を放り出してしまいたくなる日も、あるけれど」
『愛しているの』
自分が死ぬと分かっていても、そう言って私を産んでくれたお母様。
私にベタ甘なお父様も、ツンデレなお兄様も、悪役令嬢強火担なセドも、公爵令嬢として私を扱わない師匠やエリィ様達も。
そして想い人に出会った今もまだ婚約者を続けてくれているロア様も。
みんな、みんな、私を大事に思ってくれている事を知っているから。
「私は、私を愛してくれている人達に恥じない"私"でありたいと思うの」
私も、愛しているから。
だから、私は逃げない。
たとえ、自分に配られた配役が"悪役令嬢"であったとしても。
リティカ・メルティーの名に恥じない私でいたいから。
「課せられた運命が重くても、ライラなら吹き飛ばせるわよ。だってあなたなんだかんだいいつつちゃんと私のレッスンについて来れてるじゃない」
大丈夫、と私はこの国の未来を背負うライラちゃんに笑いかける。
「私、ライラの直球で破壊魔なところも結構気に入っているわ。これから先もあなたを取り巻く環境は目まぐるしく変わるでしょう。だけど、これから先のライラの軸になる部分が今のあなたのままなら私は嬉しいと思うわ」
かつて、メアリー様に言われた言葉になぞらえて、私は悩み多きヒロインに言葉を贈る。
"あなたは、あなたらしく自分にできる事をすればいいの"
きっと、メアリー様はこう言いたかったのね、と今なら分かる。
誰からの肯定はそれだけで少しだけ前向きになれると私は知っている。
だから、今度は私がその背を押したい。
翡翠の大きな瞳に私を写したライラちゃんは、ゆっくり何度も目を瞬かせ、
「じゃあ私、リティカ様の秘密基地にお呼ばれしても恥ずかしくないくらいしっかりマナーを覚えます」
私に本を見せながらライラちゃんはそう決意表明をする。
「だから、もっと、沢山、これからも私にお勉強を教えてくださいますか?」
沢山の本を抱えているなとは思っていたけれど、自主学習用だったらしい。
「ふふ、私でよければ喜んで。ああ、でも魔法の事はロア様に習うといいわ」
最近よく一緒にいるでしょう? と私は尋ねる。
「学園祭の準備とか、魔法の授業でペアになるから一緒にいるだけで、別にやましい事は一切ないです!!」
はっとしたようにライラちゃんは全力で噂を否定する。
まぁ、確かに私はまだロア様の婚約者ですしね。
でもライラちゃんにはちゃんと私はロア様の風避けでしかないと伝えたわけだし、せっかくロア様といる時間が持てるように裏で画策してる身としては、やましい事があってもいいんだけど。
「うん、でも両片思いのすれ違いパターンも私的には尊くて有りよりの有りね」
学園祭の演劇ものすごく期待してるからと映像記録水晶を取り出す私に、
「えーっと、ご期待に添えるようにがんばります?」
若干困惑気味にライラちゃんは微笑んだ。