追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「あちゃー、やり過ぎちゃったー」
わぁーめっちゃ飛んだーと呑気な声がして私はそちらに視線を向ける。
私の瞳に映ったのは、ふわりと揺れる青緑色の髪に翡翠の瞳。片手に柄の長いハンマーを持ち真っ白な聖職者の衣装を身に纏った、この世界のヒロインの姿。
「ライラ……ちゃん?」
どうして、ここに?
尋ねたいのに身体中が痛すぎて、私は言葉を紡げず、気配遮断のせいでライラちゃんは私を認識できていないようだった。
「あ、ラッキー。ドロップしてるじゃん」
そう言った彼女の視線の先には、妖しく紫色に光る石の欠片。
アレは、幻惑石?
「ダメ! それに、素手で触っては」
私は気配遮断を切り、力の限りそう叫ぶ。
「え!? は? ちょ、いやぁぁあーリティカ様がぁ。え、ちょ、なんで? とりあえず、ちょっと待っててください!!」
私の側に駆け寄ってきたライラちゃんは絶叫しながら、
「"完全回復"」
と呪文を唱える。
キラキラと光りそれが触れた瞬間、全ての怪我が綺麗に治った。
それは間違いなく、エタラブヒロインの聖女の魔法。
「リティカ様、具合悪いところないですか? 重ねがけします?」
心配そうに尋ねる彼女に首を振り、
「平気よ。助けてくれてありがとう」
呆然としたままお礼を言って、まじまじと彼女を見る。
それはゲーム中盤、聖乙女から聖女見習いに格上げされて神殿務めになった時に来ていた衣装。
「あー良かった。もう、リティカ様が突然血まみれで現れたんでびっくりしましたよ」
「何でライラがここにいるの?」
「詳しくは言えませんけど……アルバイト中です!」
「……アル……バイト?」
ヒロイン働いてるの? 聖女なのに?
どういう状況? と疑問符だらけの私を前に。
「あ、そうだ。これ回収しないと」
思い出したようにライラちゃんは幻惑石の欠片に手を伸ばす。
「ダメって」
「きれいになーあれ」
キラキラっとした光が舞って、幻惑石から妖しげな色が消えた。
は? どういうこと?
なんでこんなテキトーな呪文で幻惑石の禍々しさが消え……浄化? これはもしかしなくても浄化魔法なの?
「ふぅ、お仕事完了。これで1万クランは堅いはず!」
よし、っとガラス瓶に採取した欠片を入れたライラちゃんはとっても嬉しそうにそう言った瞬間、沢山の人の声とコチラにかけてくる足音が聞こえた。
これだけ派手にやったのだから当然だ。
「やっばぁ、修理費請求されたらせっかくのバイト代が!! 逃げますよ、リティカ様」
そう言って私の手を取るとライラちゃんは、テレポートとつぶやく。
パッと景色が切り替わったと思ったら、そこは学校の中庭だった。
「ふ〜ここまで逃げれば大丈夫! はぁ、私今日もいい仕事したぁ」
なんて満足気に笑うライラちゃんを見て、私は無言で彼女の頭に手刀を落とした。
「痛ぁ〜い。リティカ様暴力はダメなんですよ!?」
「ボケの数が多すぎますわ!」
街で建物を破壊するんじゃありませんと言った私が師匠仕込みの手刀を再度頭に落としたのは言うまでもない。
わぁーめっちゃ飛んだーと呑気な声がして私はそちらに視線を向ける。
私の瞳に映ったのは、ふわりと揺れる青緑色の髪に翡翠の瞳。片手に柄の長いハンマーを持ち真っ白な聖職者の衣装を身に纏った、この世界のヒロインの姿。
「ライラ……ちゃん?」
どうして、ここに?
尋ねたいのに身体中が痛すぎて、私は言葉を紡げず、気配遮断のせいでライラちゃんは私を認識できていないようだった。
「あ、ラッキー。ドロップしてるじゃん」
そう言った彼女の視線の先には、妖しく紫色に光る石の欠片。
アレは、幻惑石?
「ダメ! それに、素手で触っては」
私は気配遮断を切り、力の限りそう叫ぶ。
「え!? は? ちょ、いやぁぁあーリティカ様がぁ。え、ちょ、なんで? とりあえず、ちょっと待っててください!!」
私の側に駆け寄ってきたライラちゃんは絶叫しながら、
「"完全回復"」
と呪文を唱える。
キラキラと光りそれが触れた瞬間、全ての怪我が綺麗に治った。
それは間違いなく、エタラブヒロインの聖女の魔法。
「リティカ様、具合悪いところないですか? 重ねがけします?」
心配そうに尋ねる彼女に首を振り、
「平気よ。助けてくれてありがとう」
呆然としたままお礼を言って、まじまじと彼女を見る。
それはゲーム中盤、聖乙女から聖女見習いに格上げされて神殿務めになった時に来ていた衣装。
「あー良かった。もう、リティカ様が突然血まみれで現れたんでびっくりしましたよ」
「何でライラがここにいるの?」
「詳しくは言えませんけど……アルバイト中です!」
「……アル……バイト?」
ヒロイン働いてるの? 聖女なのに?
どういう状況? と疑問符だらけの私を前に。
「あ、そうだ。これ回収しないと」
思い出したようにライラちゃんは幻惑石の欠片に手を伸ばす。
「ダメって」
「きれいになーあれ」
キラキラっとした光が舞って、幻惑石から妖しげな色が消えた。
は? どういうこと?
なんでこんなテキトーな呪文で幻惑石の禍々しさが消え……浄化? これはもしかしなくても浄化魔法なの?
「ふぅ、お仕事完了。これで1万クランは堅いはず!」
よし、っとガラス瓶に採取した欠片を入れたライラちゃんはとっても嬉しそうにそう言った瞬間、沢山の人の声とコチラにかけてくる足音が聞こえた。
これだけ派手にやったのだから当然だ。
「やっばぁ、修理費請求されたらせっかくのバイト代が!! 逃げますよ、リティカ様」
そう言って私の手を取るとライラちゃんは、テレポートとつぶやく。
パッと景色が切り替わったと思ったら、そこは学校の中庭だった。
「ふ〜ここまで逃げれば大丈夫! はぁ、私今日もいい仕事したぁ」
なんて満足気に笑うライラちゃんを見て、私は無言で彼女の頭に手刀を落とした。
「痛ぁ〜い。リティカ様暴力はダメなんですよ!?」
「ボケの数が多すぎますわ!」
街で建物を破壊するんじゃありませんと言った私が師匠仕込みの手刀を再度頭に落としたのは言うまでもない。