追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
『俺はこのままリティカと結婚する気はないよ』
ロア様はハッキリそう言った。
ロア様は優しいから、私を助けるためにキスした事を気に病んで好きな人の所にいけないのかもしれない。
「ロア様のお気持ちは分かっています。私が恋慕っていようが、婚約者だろうが人の心はそんなモノで縛れないことも理解しています」
そう思った私は、もう一度フラれる覚悟を決める。
「それなら私、ロア様を幸せにしたいです。キスした事なら責任取ってもらおうなんて微塵も思ってませんし、秒で忘れましたし、慰謝料必要なら払いますから!」
もう、これ以上引きずるのは正直しんどいし、物語が終わってまで当て馬をやるほど私はお人好しではない。
「そんなわけなので、早々にトドメを刺してライラちゃんのところに行ってもらえませんかね!? そしてささっとロア様の魔障治して、奇跡だなんだと国民に祝福されながら幸せな結婚をして、愛でもなんでも育めばいいじゃないですか!」
私は半ヤケのようにそんなことを泣き叫び、驚いたように見開かれた濃紺の瞳を睨む。
「私の気持ちは以上です。分かったら早々に完膚なきまでに振っちゃってくれます? じゃないと、嫉妬に狂った悪役令嬢がお二人に何をするかわからないですよ?」
全てを晒してしまった私は、断頭台に上がったかのような心持ちでロア様からの言葉を待つ。
「嫉妬……したんだ。なにそれ可愛い」
だけど、ロア様は何故か嬉しそうな声でそう言うと私の事をぎゅっと抱きしめる。
「つまり、リティカは俺の事が男として好きだって事で間違いないよね?」
耳元で囁くようにそう聞かれ、反射的に頷くと私を抱きしめる力が少し強くなる。
「ずっと、俺だけが焼き餅妬いてるんだと思ってた。リティカが俺よりライラに構うから、ライラにだって妬いてたんだよ?」
そう言ってロア様はクスッと笑うけれど、突然の事態と分からない事だらけで私の頭の中が疑問符で埋め尽くされて、思考がショート寸前だ。
「顔、よく見せて」
私を抱きしめたまま少しだけ体を離したロア様は、いつもみたいにふわりと優しく笑う。
だけど、私を見つめるその目は見た事がないくらい熱と壮絶な色気を帯びていて。
私は思わず息を呑む。
「リティカ、可愛い」
そんな私を満足気に見たロア様は、私の手に指を絡め、コツンと私と額を合わせると。
「愛してる。ずっと、俺が手に入れたいと思ってたのは、リティカだけだよ」
とても優しい声でそう言った。
「う……そ。今まで一度だってそんな事ロア様から言われたことないですし、結婚したくないっていったし。それに私は悪役令嬢で、王子ルートでライラちゃんが聖女になったって。だって、ノーマルエンド以上は聖女と結ばれるまでがセットでしょ?」
「うん、後半よくわかんないけど、誤解が多そうだというのは理解した。まぁ、それはおいおい解いていくとして。リティカを愛してるのは嘘じゃないし、俺はリティカを正妃にと望んでいる」
真っ直ぐに向けられたその瞳に嘘はなさそうだけど、あまりに私に都合が良すぎる気がして、私はロア様の言葉が信じられなくて。
見返す私にクスッと笑ったロア様は私の髪にキスを落とし、
「リティカの大好きに親愛以上がなかったから、言葉にするのが怖くて。言えば、俺の言葉には強制力が伴うから。でも、9歳の時からずっと俺はリティカに恋してる。今までもあからさま過ぎるくらいアピールはしてきたつもりなんだけど」
とロア様はそう言う。
言われてみればと、私は今までを振り返る。
いつも私がピンチに陥りそうな時はロア様がさりげなくフォローしてくれていたし、ロア様から贈られるドレスもアクセサリーも全部ロア様のイメージカラーで。
何より王太子になってから多忙過ぎるはずなのに、絶対月1回は私のためにお茶会に招いてくれた。
しかも、私の好みそうなブレンドをロア様自ら毎回考えて。それに合うお菓子も手配して。
あれ?
これ相当手間がかかっているのでは?
ただの幼馴染というか好きでもない相手にここまでするだろうか?
「リティカは本当に自分に向けられる好意については鈍いよね。自分は容赦なく好意向けるのにねぇ」
考え込んでしまった私に手を伸ばし、よしよしと頭を撫でたロア様は、
「まぁそんなところも可愛いんだけど」
と言って私を再び覗き込む。
ロア様はハッキリそう言った。
ロア様は優しいから、私を助けるためにキスした事を気に病んで好きな人の所にいけないのかもしれない。
「ロア様のお気持ちは分かっています。私が恋慕っていようが、婚約者だろうが人の心はそんなモノで縛れないことも理解しています」
そう思った私は、もう一度フラれる覚悟を決める。
「それなら私、ロア様を幸せにしたいです。キスした事なら責任取ってもらおうなんて微塵も思ってませんし、秒で忘れましたし、慰謝料必要なら払いますから!」
もう、これ以上引きずるのは正直しんどいし、物語が終わってまで当て馬をやるほど私はお人好しではない。
「そんなわけなので、早々にトドメを刺してライラちゃんのところに行ってもらえませんかね!? そしてささっとロア様の魔障治して、奇跡だなんだと国民に祝福されながら幸せな結婚をして、愛でもなんでも育めばいいじゃないですか!」
私は半ヤケのようにそんなことを泣き叫び、驚いたように見開かれた濃紺の瞳を睨む。
「私の気持ちは以上です。分かったら早々に完膚なきまでに振っちゃってくれます? じゃないと、嫉妬に狂った悪役令嬢がお二人に何をするかわからないですよ?」
全てを晒してしまった私は、断頭台に上がったかのような心持ちでロア様からの言葉を待つ。
「嫉妬……したんだ。なにそれ可愛い」
だけど、ロア様は何故か嬉しそうな声でそう言うと私の事をぎゅっと抱きしめる。
「つまり、リティカは俺の事が男として好きだって事で間違いないよね?」
耳元で囁くようにそう聞かれ、反射的に頷くと私を抱きしめる力が少し強くなる。
「ずっと、俺だけが焼き餅妬いてるんだと思ってた。リティカが俺よりライラに構うから、ライラにだって妬いてたんだよ?」
そう言ってロア様はクスッと笑うけれど、突然の事態と分からない事だらけで私の頭の中が疑問符で埋め尽くされて、思考がショート寸前だ。
「顔、よく見せて」
私を抱きしめたまま少しだけ体を離したロア様は、いつもみたいにふわりと優しく笑う。
だけど、私を見つめるその目は見た事がないくらい熱と壮絶な色気を帯びていて。
私は思わず息を呑む。
「リティカ、可愛い」
そんな私を満足気に見たロア様は、私の手に指を絡め、コツンと私と額を合わせると。
「愛してる。ずっと、俺が手に入れたいと思ってたのは、リティカだけだよ」
とても優しい声でそう言った。
「う……そ。今まで一度だってそんな事ロア様から言われたことないですし、結婚したくないっていったし。それに私は悪役令嬢で、王子ルートでライラちゃんが聖女になったって。だって、ノーマルエンド以上は聖女と結ばれるまでがセットでしょ?」
「うん、後半よくわかんないけど、誤解が多そうだというのは理解した。まぁ、それはおいおい解いていくとして。リティカを愛してるのは嘘じゃないし、俺はリティカを正妃にと望んでいる」
真っ直ぐに向けられたその瞳に嘘はなさそうだけど、あまりに私に都合が良すぎる気がして、私はロア様の言葉が信じられなくて。
見返す私にクスッと笑ったロア様は私の髪にキスを落とし、
「リティカの大好きに親愛以上がなかったから、言葉にするのが怖くて。言えば、俺の言葉には強制力が伴うから。でも、9歳の時からずっと俺はリティカに恋してる。今までもあからさま過ぎるくらいアピールはしてきたつもりなんだけど」
とロア様はそう言う。
言われてみればと、私は今までを振り返る。
いつも私がピンチに陥りそうな時はロア様がさりげなくフォローしてくれていたし、ロア様から贈られるドレスもアクセサリーも全部ロア様のイメージカラーで。
何より王太子になってから多忙過ぎるはずなのに、絶対月1回は私のためにお茶会に招いてくれた。
しかも、私の好みそうなブレンドをロア様自ら毎回考えて。それに合うお菓子も手配して。
あれ?
これ相当手間がかかっているのでは?
ただの幼馴染というか好きでもない相手にここまでするだろうか?
「リティカは本当に自分に向けられる好意については鈍いよね。自分は容赦なく好意向けるのにねぇ」
考え込んでしまった私に手を伸ばし、よしよしと頭を撫でたロア様は、
「まぁそんなところも可愛いんだけど」
と言って私を再び覗き込む。