追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「だからね、リティカが王妃になりたくてがんばるのなら、その相手はロアではないほうがいいのかもしれないなって」
ロア様との婚約を白紙に戻す。メアリー様が私の味方で居てくれる今ならそれは私が思っている以上に簡単なことなのかもしれない。
私はロア様について考える。
前世を思い出して精神年齢が上がったせいだろうか?
ついこの間まで一緒に遊んでいたロア様がとても幼く見えて仕方が無い。
いずれヒロインと絡むのだから今のうちにからライバルに負けないようにもっとしっかりして欲しいとも思う。
だけど。
「私は別に王妃になりたくて頑張っているわけではありません」
むしろ国外追放希望です、とは言えないので私は慎重に言葉を選ぶ。
「確かにロア様はサボり魔だし、手がかかるし、ロア様には野心がないのかもしれないけれど、でもできれば私はロア様に王様になってほしいと思います」
私はヒロイン大好きな悪役令嬢だ。王子ルートに行って欲しいし、スチル回収だってしたい。
だけど、私の煩悩を差し引いた臣民としての正直な気持ちはコレだった。
「確かに陛下がまとめあげたような少し前のこの国であったなら、ロア様は王様に向いていなかったかもしれません」
ほんの少し前までこの国は荒れていた。求められたのは国を守るために非情な選択もできる圧倒的に強い王様。
まぁ、それは"エタラブ"シーズン1、陛下とメアリー様の話なんだけど。
ちなみに私は未プレイなので、今シーズンの"エタラブ"王子ルートでの冒頭紹介の内容しか知らない。
「でも、現代で求められているのは、国民から"愛される"優しい王様なんじゃないかなぁと思うのです」
私は私の知っている今のロア様とゲームをプレイしたことで知っているこれから先のロア様について考える。
「メアリー様譲りの人を惹きつける魅力、陛下譲りの貴賤の概念にとらわれず相手を見てその能力で判断する柔軟性、そして困っている人を放っておけないロア様本人の特性。これらはこれからの国を作っていく上で必要ではありませんか?」
乙女ゲーム的な解釈として、これが正しいのかどうかわからない。だけど、この世界に生きるリティカはロア様に1票を投じる。
「でもまぁ、それはあくまで私の見解。私の願望です。ロア様が王位をお望みでないと言うのならそれはそれで構いません」
ヒロインには王子ルートに入って欲しいから、なるべくならゲームの設定に忠実である方がいいとは思う。
だけどたとえロア様が王太子になられなかったとしても、彼がこの国の第一王子であることには変わりないし、学園に入学する年も変わらない。
ゲームのエンディング時に即位していたわけではないのだから、学園に入学してヒロインと接点を持てれば王子ルートの条件としては十分だ。
「私はあくまでロア様の婚約者です。そこを譲る気はありません」
王子ルートを目指す以上、私はいずれ婚約破棄される身。そんな悪役令嬢にとっての特等席、譲るなんてありえない。
「ですが、いつかロア様にとって、私よりも相応しいパートナーが見つかる日が来るかもしれません」
だってここは乙女ゲームの世界。乙女を巡って王子を含む令息たちが恋のバトルを繰り広げるのは必至だ。
そして、私はロア様を応援したいと思っている。
「ロア様が私をパートナーとしてお望みでないのなら、いつでも白紙撤回して頂いて構いません。私、できたらロア様には陛下とメアリー様のように恋愛結婚して欲しいなって思っているので」
私が悪役令嬢なのだと思い出した時から、いつでも身を引く準備はできている。
だから、公で断罪イベントをやるのは勘弁してほしい。各所に迷惑がかかるし。私が婚約者を止めて国外追放される分には一向に構わない。
だけど、その時が来るまでは。
「それまでは私がロア様をお守りいたします」
常識的に判断できる王子様になるように、そしてヒロインに選ばれるようなヒーローになるように、悪役令嬢らしく裏で暗躍するのと心の中で誓う。
「……リティカ」
「私、この国もロア様のことも大好きなので」
もちろん、ヒロインのライラちゃんの事もと内心で付け足す。
「そう、それがリティカの答えなのね」
メアリー様の言葉に私は微笑んで頷く。
そう、私の目的は変わらない。
「ええ、私の気持ちは変わりません」
王子ルートのスチル回収。それだけだ。
それに前世を思い出した私は知っている。数年後、乙女ゲームらしくこの国には災厄が訪れる。
私は平和に生きて行きたいのだ。だからスチル回収のついでにイベントを確実に回避する。
だから、何が何でもヒロインには王子ルートに行ってもらわなくては困るのだ。だって私が知っている情報は、そこにしかないのだから。
ロア様との婚約を白紙に戻す。メアリー様が私の味方で居てくれる今ならそれは私が思っている以上に簡単なことなのかもしれない。
私はロア様について考える。
前世を思い出して精神年齢が上がったせいだろうか?
ついこの間まで一緒に遊んでいたロア様がとても幼く見えて仕方が無い。
いずれヒロインと絡むのだから今のうちにからライバルに負けないようにもっとしっかりして欲しいとも思う。
だけど。
「私は別に王妃になりたくて頑張っているわけではありません」
むしろ国外追放希望です、とは言えないので私は慎重に言葉を選ぶ。
「確かにロア様はサボり魔だし、手がかかるし、ロア様には野心がないのかもしれないけれど、でもできれば私はロア様に王様になってほしいと思います」
私はヒロイン大好きな悪役令嬢だ。王子ルートに行って欲しいし、スチル回収だってしたい。
だけど、私の煩悩を差し引いた臣民としての正直な気持ちはコレだった。
「確かに陛下がまとめあげたような少し前のこの国であったなら、ロア様は王様に向いていなかったかもしれません」
ほんの少し前までこの国は荒れていた。求められたのは国を守るために非情な選択もできる圧倒的に強い王様。
まぁ、それは"エタラブ"シーズン1、陛下とメアリー様の話なんだけど。
ちなみに私は未プレイなので、今シーズンの"エタラブ"王子ルートでの冒頭紹介の内容しか知らない。
「でも、現代で求められているのは、国民から"愛される"優しい王様なんじゃないかなぁと思うのです」
私は私の知っている今のロア様とゲームをプレイしたことで知っているこれから先のロア様について考える。
「メアリー様譲りの人を惹きつける魅力、陛下譲りの貴賤の概念にとらわれず相手を見てその能力で判断する柔軟性、そして困っている人を放っておけないロア様本人の特性。これらはこれからの国を作っていく上で必要ではありませんか?」
乙女ゲーム的な解釈として、これが正しいのかどうかわからない。だけど、この世界に生きるリティカはロア様に1票を投じる。
「でもまぁ、それはあくまで私の見解。私の願望です。ロア様が王位をお望みでないと言うのならそれはそれで構いません」
ヒロインには王子ルートに入って欲しいから、なるべくならゲームの設定に忠実である方がいいとは思う。
だけどたとえロア様が王太子になられなかったとしても、彼がこの国の第一王子であることには変わりないし、学園に入学する年も変わらない。
ゲームのエンディング時に即位していたわけではないのだから、学園に入学してヒロインと接点を持てれば王子ルートの条件としては十分だ。
「私はあくまでロア様の婚約者です。そこを譲る気はありません」
王子ルートを目指す以上、私はいずれ婚約破棄される身。そんな悪役令嬢にとっての特等席、譲るなんてありえない。
「ですが、いつかロア様にとって、私よりも相応しいパートナーが見つかる日が来るかもしれません」
だってここは乙女ゲームの世界。乙女を巡って王子を含む令息たちが恋のバトルを繰り広げるのは必至だ。
そして、私はロア様を応援したいと思っている。
「ロア様が私をパートナーとしてお望みでないのなら、いつでも白紙撤回して頂いて構いません。私、できたらロア様には陛下とメアリー様のように恋愛結婚して欲しいなって思っているので」
私が悪役令嬢なのだと思い出した時から、いつでも身を引く準備はできている。
だから、公で断罪イベントをやるのは勘弁してほしい。各所に迷惑がかかるし。私が婚約者を止めて国外追放される分には一向に構わない。
だけど、その時が来るまでは。
「それまでは私がロア様をお守りいたします」
常識的に判断できる王子様になるように、そしてヒロインに選ばれるようなヒーローになるように、悪役令嬢らしく裏で暗躍するのと心の中で誓う。
「……リティカ」
「私、この国もロア様のことも大好きなので」
もちろん、ヒロインのライラちゃんの事もと内心で付け足す。
「そう、それがリティカの答えなのね」
メアリー様の言葉に私は微笑んで頷く。
そう、私の目的は変わらない。
「ええ、私の気持ちは変わりません」
王子ルートのスチル回収。それだけだ。
それに前世を思い出した私は知っている。数年後、乙女ゲームらしくこの国には災厄が訪れる。
私は平和に生きて行きたいのだ。だからスチル回収のついでにイベントを確実に回避する。
だから、何が何でもヒロインには王子ルートに行ってもらわなくては困るのだ。だって私が知っている情報は、そこにしかないのだから。