追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
家に戻る頃にはすっかり落ち着いていたのだけど、心配性のお父様からの許可が降りず、私はベッドで9歳の誕生日を過ごすこととなった。
まぁ元々誕生日パーティーなんてする予定はなかったから問題はないのだけど。
私はベッドにごろんと横になりなぜ課金ルートの一部が見えたのかを考える。
が、当然答えは出てこない。
初めて自分がこの世界の悪役令嬢なのだと気づいたときは、ロア様の魔力を使って占いをした時だった。
だけど今回は占いなんてしていないし、未来視できるほどの魔力なんて私は待ち合わせていない。
「まぁ、分からない事は置いておきましょう。それよりも問題は」
どうやってエリィ様の死亡フラグをへし折るか?
白昼夢で見たエリィ様は今より大きくなったお腹をして、棺の前で崩れる師匠は冬物のコートを羽織っていた。
という事はまだ時間はあるはずだ。
「絶対何か、手があるはずよ」
優しくて素敵なエリィ様。公爵令嬢である私にも礼節をわきまえながらも、損得勘定抜きで接してくれる人。
エリィ様は今や私にとっても大事な方だ。
「絶対、死なせない」
そこで、ふと、白昼夢で見た師匠のセリフが蘇る。
『離れたりしなければよかった。俺がそばにいさえすれば……』
きっと師匠と離れてどこかに行っている間に何かが起きたのだ。
だけど、あんなに大きなお腹でどこか遠くに行くだろうか?
「……もしかして、領地?」
もし、可能性があるとするならそれは里帰りではないだろうか?
嫁いだ貴族令嬢が生家に戻るパターンは大きく2つ。離縁した時か、出産時だ。
確かに師匠は宮廷魔術師だし、屋敷には使用人もたくさんいるけれど、王宮からの要請があれば長期不在にすることも多い。
はじめての出産、子育て。
見知らぬ土地で行うよりも、いっそ慣れ親しんだ領地でと考える可能性が高い。
「なら、エリィ様が領地に行けないようにしてしまえば。いえ、それだと対策としては不完全ね」
私は思い出せる限りの白昼夢の情報と前世でプレイした情報を書き出す。
プレイ自体は王子ルートだけだけど、そこで起きたこの国の出来事の時間軸自体は変わらないはずだ。
「本編開始はライラちゃんの入学。つまり同い年の私が学園に入る6年後」
本編でライラちゃんとロア様が話していた事を必死に思い出す。
彼らは野外実習に出た際、魔物の討伐に巻き込まれるシーンがあった。
ライラちゃんはあの時、初めて聖女の力を無自覚に発動するのだ。
確かその時ライラちゃんを支えていたロア様が言っていた。
「6年前に大規模な魔物との戦闘があったって。その当時魔物被害を食い止めたのはイーシス。イーシスが宮廷魔術師を止めてしまってから各地で魔物の被害が広がっているって、ロア様はおっしゃっていたわ」
つまりこれがエリィ様と師匠が離れた理由。だから、エリィ様はおそらく領地に帰ったのだ。
「……師匠が討伐に出向かなければ、未来は変わる?」
師匠は口は悪いし、態度もでかいけど、あれで戦闘能力バリ高だ。下手な護衛を雇うより師匠がそばにいる方が、何かあったとき回避できる可能性が高い。
「エリィ様を領地に帰さず、師匠を討伐に行かせない方法」
おそらくこれがシナリオを崩す最適解。その上で魔物の被害が出ないようにしなくてはいけない。
「ゲーム、もっとやりこんでおけばよかった」
今更こんなこと言ってもしょうがないのだけれど、私はため息をつかずにはいられない。
「まだ時間はある。今世財力もあるんだから、絶対フラグを叩き折ってやる」
前世ただの庶民だった私は知っている。この世界とはお金があればたいていの危機を乗り越えられると言う事を。
「公爵令嬢、舐めないでよね」
私は会ったことのない運営様に向かって吠えるようにそう言うと、これからの対策をまとめていった。
まぁ元々誕生日パーティーなんてする予定はなかったから問題はないのだけど。
私はベッドにごろんと横になりなぜ課金ルートの一部が見えたのかを考える。
が、当然答えは出てこない。
初めて自分がこの世界の悪役令嬢なのだと気づいたときは、ロア様の魔力を使って占いをした時だった。
だけど今回は占いなんてしていないし、未来視できるほどの魔力なんて私は待ち合わせていない。
「まぁ、分からない事は置いておきましょう。それよりも問題は」
どうやってエリィ様の死亡フラグをへし折るか?
白昼夢で見たエリィ様は今より大きくなったお腹をして、棺の前で崩れる師匠は冬物のコートを羽織っていた。
という事はまだ時間はあるはずだ。
「絶対何か、手があるはずよ」
優しくて素敵なエリィ様。公爵令嬢である私にも礼節をわきまえながらも、損得勘定抜きで接してくれる人。
エリィ様は今や私にとっても大事な方だ。
「絶対、死なせない」
そこで、ふと、白昼夢で見た師匠のセリフが蘇る。
『離れたりしなければよかった。俺がそばにいさえすれば……』
きっと師匠と離れてどこかに行っている間に何かが起きたのだ。
だけど、あんなに大きなお腹でどこか遠くに行くだろうか?
「……もしかして、領地?」
もし、可能性があるとするならそれは里帰りではないだろうか?
嫁いだ貴族令嬢が生家に戻るパターンは大きく2つ。離縁した時か、出産時だ。
確かに師匠は宮廷魔術師だし、屋敷には使用人もたくさんいるけれど、王宮からの要請があれば長期不在にすることも多い。
はじめての出産、子育て。
見知らぬ土地で行うよりも、いっそ慣れ親しんだ領地でと考える可能性が高い。
「なら、エリィ様が領地に行けないようにしてしまえば。いえ、それだと対策としては不完全ね」
私は思い出せる限りの白昼夢の情報と前世でプレイした情報を書き出す。
プレイ自体は王子ルートだけだけど、そこで起きたこの国の出来事の時間軸自体は変わらないはずだ。
「本編開始はライラちゃんの入学。つまり同い年の私が学園に入る6年後」
本編でライラちゃんとロア様が話していた事を必死に思い出す。
彼らは野外実習に出た際、魔物の討伐に巻き込まれるシーンがあった。
ライラちゃんはあの時、初めて聖女の力を無自覚に発動するのだ。
確かその時ライラちゃんを支えていたロア様が言っていた。
「6年前に大規模な魔物との戦闘があったって。その当時魔物被害を食い止めたのはイーシス。イーシスが宮廷魔術師を止めてしまってから各地で魔物の被害が広がっているって、ロア様はおっしゃっていたわ」
つまりこれがエリィ様と師匠が離れた理由。だから、エリィ様はおそらく領地に帰ったのだ。
「……師匠が討伐に出向かなければ、未来は変わる?」
師匠は口は悪いし、態度もでかいけど、あれで戦闘能力バリ高だ。下手な護衛を雇うより師匠がそばにいる方が、何かあったとき回避できる可能性が高い。
「エリィ様を領地に帰さず、師匠を討伐に行かせない方法」
おそらくこれがシナリオを崩す最適解。その上で魔物の被害が出ないようにしなくてはいけない。
「ゲーム、もっとやりこんでおけばよかった」
今更こんなこと言ってもしょうがないのだけれど、私はため息をつかずにはいられない。
「まだ時間はある。今世財力もあるんだから、絶対フラグを叩き折ってやる」
前世ただの庶民だった私は知っている。この世界とはお金があればたいていの危機を乗り越えられると言う事を。
「公爵令嬢、舐めないでよね」
私は会ったことのない運営様に向かって吠えるようにそう言うと、これからの対策をまとめていった。