追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
14.悪役令嬢、リティカのおねだり。
リティカのおねだり。
それはエタラブの本編で度々見られた、悪役令嬢好感度下げイベント。
リティカはこの世界で自分の思い通りにならないことなど何一つないと思っている傲慢でわがままなお嬢様がデフォルトなので、欲しいと思ったら公爵家の権力を使って手に入れようとするし、気に入らないと思ったら自分の手を汚すことなく排除する。
全乙女から叩かれること必至の救いようのないお嬢様なのだ。まぁそれは設定なので仕方がないし、実際の私は悪役令嬢の役割を人任せにはしないのだけど。
でも、このリティカのおねだりは私が使える中では最強のカードだと思う。
「お父様、お願いがありますの」
「リティーこの間倒れたばかりだと言うのに立ち上がってはいけないよ。さぁベッドにお戻り」
いやそれ何日前の話よ? 体調不良でもないと言うのに、寝たきり生活をしていたら、それこそ具合が悪くなってしまう。
相変わらず過保護なお父様に内心でため息をつきつつ、しゅんと眉根を下げ悲しげな表情を作る。
「お医者様も起き上がって良いとおっしゃっていましたし、ずっとお部屋に篭りきりで食事もひとりぼっち。私、何日もお父様の顔が見れなくて寂しかったです」
でも、お父様がおっしゃるのならと涙をハラハラと流しながら私はくるりと背を向ける。
「そうか、お父様もリティカに会えない日々はまるで太陽が消えたかのようだった。どうだろう。体調が良いのなら、お茶でもしないか? リティカの好きなお菓子を用意させよう」
「本当! 嬉しい。パパ大好きっ!!」
くるりとお父様の方を向き直し、ぱっと表情を明るくさせて、私はお父様に抱きつく。
「あははっ、リティカは本当に甘えん坊だなぁ。パパだなんて久しぶりに言われたよ」
ロア様の婚約者に決まってからは、公爵令嬢として恥ずかしくないように少しずつ言葉使いを矯正していったので、私がパパと言う言葉を口にしたのは、本当に久しぶりの事だった。
甘えん坊モードのリティカにお父様はとてもデレデレだ。
正直、中身は成人オーバーなので自分の振る舞いをきついなぁと思う私もいるのだけれど、"リティカのおねだり"にお父様のご機嫌を良くする事は欠かせない。
「パパ〜早く私とお茶しましょ?」
私は小さな子どものように無邪気にお父様の手を引いて促す。
すると、ふわりと抱えあげられた。
「ああ、いつの間にこんなに大きくなったんだろう」
私を抱っこをしたお父様は感慨深そうにそうつぶやく。
公爵家の令嬢、いや貴族の子女であれば、本来ならいずれ政略結婚の駒として有効に使うためにきっと幼少期から淑女らしく厳しくしつけられるものなのだと思う。
それこそ親子の間ですらきちんと上下関係が成立するほどに。
そんな家庭が一般的な中でお父様が私を溺愛する理由はただ一つ。
私が最愛の妻の忘形見で、容姿が彼女に似ているから。
「……私は、甘えん坊なのではありません。寂しがり屋なだけですわ」
でも私は知っている。そうやって注がれた歪んだ愛情はいつかリティカを狂わせてしまう。
私はお母様ではありません。リティカを見て、と。
「そうか、じゃあパパはリティーといつでも一緒にいられるように頑張らないとなぁ」
そういって満面の笑みを浮かべるお父様。
(ねぇ、お父様。わかっていますか? この家に子どもはもう1人いるんですよ)
セザールと私の関係を考えたとき、お父様の意識改善は欠かせない。
お父様の目を覚まさせる。でも、それは今後の課題。
いつか、お兄様も入れた3人で笑いながら家族らしく食卓を囲むことができたら、と。
お兄様ルートを潰したい。それ以上に、私はそうなることを望んでいた。
それはエタラブの本編で度々見られた、悪役令嬢好感度下げイベント。
リティカはこの世界で自分の思い通りにならないことなど何一つないと思っている傲慢でわがままなお嬢様がデフォルトなので、欲しいと思ったら公爵家の権力を使って手に入れようとするし、気に入らないと思ったら自分の手を汚すことなく排除する。
全乙女から叩かれること必至の救いようのないお嬢様なのだ。まぁそれは設定なので仕方がないし、実際の私は悪役令嬢の役割を人任せにはしないのだけど。
でも、このリティカのおねだりは私が使える中では最強のカードだと思う。
「お父様、お願いがありますの」
「リティーこの間倒れたばかりだと言うのに立ち上がってはいけないよ。さぁベッドにお戻り」
いやそれ何日前の話よ? 体調不良でもないと言うのに、寝たきり生活をしていたら、それこそ具合が悪くなってしまう。
相変わらず過保護なお父様に内心でため息をつきつつ、しゅんと眉根を下げ悲しげな表情を作る。
「お医者様も起き上がって良いとおっしゃっていましたし、ずっとお部屋に篭りきりで食事もひとりぼっち。私、何日もお父様の顔が見れなくて寂しかったです」
でも、お父様がおっしゃるのならと涙をハラハラと流しながら私はくるりと背を向ける。
「そうか、お父様もリティカに会えない日々はまるで太陽が消えたかのようだった。どうだろう。体調が良いのなら、お茶でもしないか? リティカの好きなお菓子を用意させよう」
「本当! 嬉しい。パパ大好きっ!!」
くるりとお父様の方を向き直し、ぱっと表情を明るくさせて、私はお父様に抱きつく。
「あははっ、リティカは本当に甘えん坊だなぁ。パパだなんて久しぶりに言われたよ」
ロア様の婚約者に決まってからは、公爵令嬢として恥ずかしくないように少しずつ言葉使いを矯正していったので、私がパパと言う言葉を口にしたのは、本当に久しぶりの事だった。
甘えん坊モードのリティカにお父様はとてもデレデレだ。
正直、中身は成人オーバーなので自分の振る舞いをきついなぁと思う私もいるのだけれど、"リティカのおねだり"にお父様のご機嫌を良くする事は欠かせない。
「パパ〜早く私とお茶しましょ?」
私は小さな子どものように無邪気にお父様の手を引いて促す。
すると、ふわりと抱えあげられた。
「ああ、いつの間にこんなに大きくなったんだろう」
私を抱っこをしたお父様は感慨深そうにそうつぶやく。
公爵家の令嬢、いや貴族の子女であれば、本来ならいずれ政略結婚の駒として有効に使うためにきっと幼少期から淑女らしく厳しくしつけられるものなのだと思う。
それこそ親子の間ですらきちんと上下関係が成立するほどに。
そんな家庭が一般的な中でお父様が私を溺愛する理由はただ一つ。
私が最愛の妻の忘形見で、容姿が彼女に似ているから。
「……私は、甘えん坊なのではありません。寂しがり屋なだけですわ」
でも私は知っている。そうやって注がれた歪んだ愛情はいつかリティカを狂わせてしまう。
私はお母様ではありません。リティカを見て、と。
「そうか、じゃあパパはリティーといつでも一緒にいられるように頑張らないとなぁ」
そういって満面の笑みを浮かべるお父様。
(ねぇ、お父様。わかっていますか? この家に子どもはもう1人いるんですよ)
セザールと私の関係を考えたとき、お父様の意識改善は欠かせない。
お父様の目を覚まさせる。でも、それは今後の課題。
いつか、お兄様も入れた3人で笑いながら家族らしく食卓を囲むことができたら、と。
お兄様ルートを潰したい。それ以上に、私はそうなることを望んでいた。