追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「魔物の安全な討伐を考えていく上では、何も魔道具の攻撃力だけを検討する必要はないと考えています。例えば補助具、あるいは道中で必要なもの、何でも構いません。皆様の豊かな発想と想像力、そして知識を広く求めます」
魔術師にはそれぞれ得意な分野がある。幅広く募集をかけたければ挑戦するための難易度を下げる必要があるし、アイディアだけでいいと言うのなら、きっと新人であっても取り組みやすいだろう。
私の思惑はどうやらあたりのようで、早速アイディアを練り出すささやきが聞こえる。
「求められるレベルはどのぐらいですか?」
「そうですねー求めるレベルとしては、攻撃型スキルを持つ魔術師抜きで、火龍レベルの討伐に成功することを想定してください」
なぜなら、もう少ししたら特異型の火龍による被害が起きるから。
そうなると、現状師匠が事を収めるために行かざるを得なくなってしまう。エリィ様の死亡フラグを叩き折り、師匠ルートを潰すために、私はこのシナリオ変えたいのだ。
「審査は公平を期すため、魔法省トップクラスの宮廷魔術師イーシス・ハーディス様にお願いします。そんなわけで、師匠はコンテストに参加不可です」
「はぁ? 俺はそんな話」
「上司命令です♡」
私は師匠の話を遮って、ペロリと1枚の紙をモニターに注目を集める。
そこには魔法省の承認印が押された審査員任命書が映し出される。もちろん、これもお父様におねだり済みだ。
これだけ周知されれば、いくら師匠でも逃げられないでしょう。
後で多分怒られるけれど、今は師匠の眉間に刻まれた深いシワを見なかったことにする。
「イーシス・ハーディス様を唸らせられる魔術師は誰だ!? ということで、ぜひコンテストに挑戦してみてください!!」
イーシス・ハーディスに認められるレベルのアイディア。そのことにハードルの高さを感じ、ため息が聞こえたところで、私は口角を上げる。
「ちなみに賞金は50億クラン」
それは大規模な領地一年分の運営予算に相当する金額だ。もちろん、魔法省に所属する一個人に割り当てられる研究費をはるかに上回る。
私が提示した金額の高さに会場が静まり返った。
「どうです、挑戦してみる気になりました?」
ふふ、と楽しげに私は笑い、会場の魔術師たちに問いかける。
「……つまりメルティー公爵家から総額50億クランが研究資金として我々に分配されるということですか!?」
「いいえ?」
首を振った私の言葉に、やや落胆の声が聞こえる。
少し貯めて、私は悪役令嬢っぽく意地悪げにふっと口角を上げると、
「私個人がグランプリに即金で50億クランの研究資金を差し上げますと申し上げたのです」
そう言って会場に視線を流す。
「もちろん、アイディアに応じて相応の金額をお支払いします。ここにいる全員にチャンスがあるのです」
そんな金額本当に払えるのか? とざわめく声が聞こえる。
いくら私が公爵令嬢とは言え、確かに9つの子どもが提示する金額ではないだろう。
だけど、私は悪役令嬢。シナリオを改変するためなら、今世は課金を惜しまないつもりだ。
私は1枚の紙を取り出すと、みんなに見せながら、詠唱を唱える。
「"誓約。私リティカ・メルティーは公爵令嬢の地位と名誉を賭け、このコンテストにおける受賞者に対し、研究費の支払いを滞りなく行うことを誓う"」
私の唱えた文言は、契約魔法のかかった用紙に転写され、刻まれる。
そこに私は右手をつけ、契約を完了させた。これで私は今宣言した内容を必ず遵守しなくてはならなくなった。破れば、誓約により私は魔力を永遠に失うことになるからだ。
「総額は100億クラン。さぁ、研究費の争奪戦を始めましょうか?」
私は高らかにそう宣言し、淑女らしく礼をして話を締めくくった。
魔術師にはそれぞれ得意な分野がある。幅広く募集をかけたければ挑戦するための難易度を下げる必要があるし、アイディアだけでいいと言うのなら、きっと新人であっても取り組みやすいだろう。
私の思惑はどうやらあたりのようで、早速アイディアを練り出すささやきが聞こえる。
「求められるレベルはどのぐらいですか?」
「そうですねー求めるレベルとしては、攻撃型スキルを持つ魔術師抜きで、火龍レベルの討伐に成功することを想定してください」
なぜなら、もう少ししたら特異型の火龍による被害が起きるから。
そうなると、現状師匠が事を収めるために行かざるを得なくなってしまう。エリィ様の死亡フラグを叩き折り、師匠ルートを潰すために、私はこのシナリオ変えたいのだ。
「審査は公平を期すため、魔法省トップクラスの宮廷魔術師イーシス・ハーディス様にお願いします。そんなわけで、師匠はコンテストに参加不可です」
「はぁ? 俺はそんな話」
「上司命令です♡」
私は師匠の話を遮って、ペロリと1枚の紙をモニターに注目を集める。
そこには魔法省の承認印が押された審査員任命書が映し出される。もちろん、これもお父様におねだり済みだ。
これだけ周知されれば、いくら師匠でも逃げられないでしょう。
後で多分怒られるけれど、今は師匠の眉間に刻まれた深いシワを見なかったことにする。
「イーシス・ハーディス様を唸らせられる魔術師は誰だ!? ということで、ぜひコンテストに挑戦してみてください!!」
イーシス・ハーディスに認められるレベルのアイディア。そのことにハードルの高さを感じ、ため息が聞こえたところで、私は口角を上げる。
「ちなみに賞金は50億クラン」
それは大規模な領地一年分の運営予算に相当する金額だ。もちろん、魔法省に所属する一個人に割り当てられる研究費をはるかに上回る。
私が提示した金額の高さに会場が静まり返った。
「どうです、挑戦してみる気になりました?」
ふふ、と楽しげに私は笑い、会場の魔術師たちに問いかける。
「……つまりメルティー公爵家から総額50億クランが研究資金として我々に分配されるということですか!?」
「いいえ?」
首を振った私の言葉に、やや落胆の声が聞こえる。
少し貯めて、私は悪役令嬢っぽく意地悪げにふっと口角を上げると、
「私個人がグランプリに即金で50億クランの研究資金を差し上げますと申し上げたのです」
そう言って会場に視線を流す。
「もちろん、アイディアに応じて相応の金額をお支払いします。ここにいる全員にチャンスがあるのです」
そんな金額本当に払えるのか? とざわめく声が聞こえる。
いくら私が公爵令嬢とは言え、確かに9つの子どもが提示する金額ではないだろう。
だけど、私は悪役令嬢。シナリオを改変するためなら、今世は課金を惜しまないつもりだ。
私は1枚の紙を取り出すと、みんなに見せながら、詠唱を唱える。
「"誓約。私リティカ・メルティーは公爵令嬢の地位と名誉を賭け、このコンテストにおける受賞者に対し、研究費の支払いを滞りなく行うことを誓う"」
私の唱えた文言は、契約魔法のかかった用紙に転写され、刻まれる。
そこに私は右手をつけ、契約を完了させた。これで私は今宣言した内容を必ず遵守しなくてはならなくなった。破れば、誓約により私は魔力を永遠に失うことになるからだ。
「総額は100億クラン。さぁ、研究費の争奪戦を始めましょうか?」
私は高らかにそう宣言し、淑女らしく礼をして話を締めくくった。