追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
16.悪役令嬢流、資金調達法。
「リティカ、お前一体どういうつもりだ」
事前に話を通しておかなかったので、師匠は当然のようにお怒りで。
「賞金の支払いを保証するためだけに誓約魔法を使うなんて、何を考えてるんだ」
お兄様は私が決して破ることのできない重い重い誓約魔法をこの身に宿したことを、心底心配していた。
わざわざ私を心配してくれたことが嬉しくて、私はつい顔がにやけてしまう。
「あのなぁ、笑い事じゃないんだぞ。リティカ。100億クランなんて大金、そもそもお前の個人資産で賄える額をはるかに超えているだろ」
下手を打てば、私は二度と魔法が使えなくなる。だとしても少し前のお兄様なら、私に何が起きたとしてもきっと気にも留めなかった。
私とお兄様との関係が明らかに良いほうに改善してきている。それをこんな形で実感するなんて思わなかったのだもの。
美少年の憂い顔前にニヤニヤするのを止めろと言う方が無理だろう。
「どうもこうも先程お話しした通りですよ〜」
私は自分で用意した紅茶をひと口ゆっくり飲んだ後、お兄様と師匠を相手に悪びれることなく、しれっとそう言った。
「魔術師たちが実力を示す機会ってなかなかないじゃないですか? その上研究資金が手に入る。いいことずくめじゃないです?」
規定されているシナリオ改変したいなら、何が何でもエリィ様がご出産されるだろう時期までに、師匠が魔物の討伐に出向かなくて済むような手段を確保しなくてはならない。
私とは違い実力で入った魔術師たちの知識が集まれば、それはきっと大きな力になる。
師匠がわざわざ魔物の討伐になんて行かなくていいくらいの力に。
「そりゃ、確かに研究費の資金問題では悩んでる人間も多いし、自分の実力や研鑽を示せる機会があれば魔術師たちのモチベーションも上がるだろうけど」
「師匠は、一体何がご不満なのでしょう?」
「決まっている。なんで俺が不参加なんだよ」
勝手に審査員に任命しやがってと、師匠は不機嫌を前面に押し出す。
「師匠が参加したら、師匠の一人勝ち確で、魔術師たちのモチベーションが上がらないからに決まってるじゃないですか。何言ってるんです?」
本当は師匠に参加してもらったほうがなお確実でいいアイディアが浮かぶかもしれない、とは思った。
だけどそうしたら、きっとその後のプロジェクトチームにも当然のように師匠が入れられて、魔道具の検証実験と称して火龍の討伐に出向かなくてはならなくなるに決まっている。
それでは本末転倒だ。
フラグを叩き折るための絶対条件として師匠抜きで、かつ安全に他の人たちに討伐に行ってもらわないといけないのだから。
「お兄様にも期待しています。映像記録水晶素晴らしい出来ですね。私がいない間に完成していると思いませんでした」
さすがお兄様です、と私はにこりとその試作品を手に取る。
「すごく欲しかったんですよ、コレ! こんなに早く手に入るなんて。本当にありがとうございます!!」
私はそう言って、お兄様にお礼を言って、スチル回収必須アイテム! 前世の世界で言うところのカメラを撫でて笑う。
やばい嬉しすぎてニヤニヤが止まらない。
私がお父様から外出禁止令を出されている間に、お兄様と師匠がムービー撮影可能なカメラをほぼ完成させてしまっていたなんて。
さすが次代を担う天才児。私のお兄様、ハイスペックすぎる。
ちなみにデジカメは通じなかったらしく、エタラブと同じ映像記録水晶に名前を改められていた。
「せめて、こちらの性能実験私にお任せいただけますか? 映像記録水晶の有用性を最高な形で示したいと思いますので」
これから先売り込むためにも、私に考えがあるんですと私はそう言って押し切る。
「もともとはリティカのアイデアだからそれは構わないが……何に使う気なんだ?」
「んーそうですねぇ。資金調達、でしょうかね?」
何せ私は今からグランプリが終了するまでの間に100億クラン即金で払える額を稼がなくてはならないのだ。
そのためには、これがどうしても欠かせない。
「ご心配なさらないでお兄様。お金、と言うものはある所にはあるものなのです」
私は悪役令嬢らしくニヤッと黒い笑みを浮かべて、映像記録水晶を撫でる。
「さて、いくらに化けるかとっても楽しみですわぁ〜」
全て準備は整った。
さて、悪役令嬢らしく反撃といきましょうか?
内心でそうつぶやくと決行の日を決めた。
事前に話を通しておかなかったので、師匠は当然のようにお怒りで。
「賞金の支払いを保証するためだけに誓約魔法を使うなんて、何を考えてるんだ」
お兄様は私が決して破ることのできない重い重い誓約魔法をこの身に宿したことを、心底心配していた。
わざわざ私を心配してくれたことが嬉しくて、私はつい顔がにやけてしまう。
「あのなぁ、笑い事じゃないんだぞ。リティカ。100億クランなんて大金、そもそもお前の個人資産で賄える額をはるかに超えているだろ」
下手を打てば、私は二度と魔法が使えなくなる。だとしても少し前のお兄様なら、私に何が起きたとしてもきっと気にも留めなかった。
私とお兄様との関係が明らかに良いほうに改善してきている。それをこんな形で実感するなんて思わなかったのだもの。
美少年の憂い顔前にニヤニヤするのを止めろと言う方が無理だろう。
「どうもこうも先程お話しした通りですよ〜」
私は自分で用意した紅茶をひと口ゆっくり飲んだ後、お兄様と師匠を相手に悪びれることなく、しれっとそう言った。
「魔術師たちが実力を示す機会ってなかなかないじゃないですか? その上研究資金が手に入る。いいことずくめじゃないです?」
規定されているシナリオ改変したいなら、何が何でもエリィ様がご出産されるだろう時期までに、師匠が魔物の討伐に出向かなくて済むような手段を確保しなくてはならない。
私とは違い実力で入った魔術師たちの知識が集まれば、それはきっと大きな力になる。
師匠がわざわざ魔物の討伐になんて行かなくていいくらいの力に。
「そりゃ、確かに研究費の資金問題では悩んでる人間も多いし、自分の実力や研鑽を示せる機会があれば魔術師たちのモチベーションも上がるだろうけど」
「師匠は、一体何がご不満なのでしょう?」
「決まっている。なんで俺が不参加なんだよ」
勝手に審査員に任命しやがってと、師匠は不機嫌を前面に押し出す。
「師匠が参加したら、師匠の一人勝ち確で、魔術師たちのモチベーションが上がらないからに決まってるじゃないですか。何言ってるんです?」
本当は師匠に参加してもらったほうがなお確実でいいアイディアが浮かぶかもしれない、とは思った。
だけどそうしたら、きっとその後のプロジェクトチームにも当然のように師匠が入れられて、魔道具の検証実験と称して火龍の討伐に出向かなくてはならなくなるに決まっている。
それでは本末転倒だ。
フラグを叩き折るための絶対条件として師匠抜きで、かつ安全に他の人たちに討伐に行ってもらわないといけないのだから。
「お兄様にも期待しています。映像記録水晶素晴らしい出来ですね。私がいない間に完成していると思いませんでした」
さすがお兄様です、と私はにこりとその試作品を手に取る。
「すごく欲しかったんですよ、コレ! こんなに早く手に入るなんて。本当にありがとうございます!!」
私はそう言って、お兄様にお礼を言って、スチル回収必須アイテム! 前世の世界で言うところのカメラを撫でて笑う。
やばい嬉しすぎてニヤニヤが止まらない。
私がお父様から外出禁止令を出されている間に、お兄様と師匠がムービー撮影可能なカメラをほぼ完成させてしまっていたなんて。
さすが次代を担う天才児。私のお兄様、ハイスペックすぎる。
ちなみにデジカメは通じなかったらしく、エタラブと同じ映像記録水晶に名前を改められていた。
「せめて、こちらの性能実験私にお任せいただけますか? 映像記録水晶の有用性を最高な形で示したいと思いますので」
これから先売り込むためにも、私に考えがあるんですと私はそう言って押し切る。
「もともとはリティカのアイデアだからそれは構わないが……何に使う気なんだ?」
「んーそうですねぇ。資金調達、でしょうかね?」
何せ私は今からグランプリが終了するまでの間に100億クラン即金で払える額を稼がなくてはならないのだ。
そのためには、これがどうしても欠かせない。
「ご心配なさらないでお兄様。お金、と言うものはある所にはあるものなのです」
私は悪役令嬢らしくニヤッと黒い笑みを浮かべて、映像記録水晶を撫でる。
「さて、いくらに化けるかとっても楽しみですわぁ〜」
全て準備は整った。
さて、悪役令嬢らしく反撃といきましょうか?
内心でそうつぶやくと決行の日を決めた。