追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「これは、あなたのための躾です。教師に従えない、あなたが悪いのです」
何度も何度も洗脳するかのように侯爵夫人がずっと私に言い続けてきた言葉の暴力。
私の中身が本当に幼い子どもであったなら、その通りに受け取って間違った方向に育っていたのだろう。可哀想なゲームの中のリティカ。でも私はそうはならない。
「さぁ、服を脱いで床に座り後ろ向きなさい」
再び促された私は、煽りすぎたかとため息をついて後ろを向くと仕方なくブラウスのボタンを外す。
むち打ちは手や腕でもまぁまぁ痛かったけど、容赦なく背中に打ち込まれたらどれぐらい痛いのだろう。
今日で最後だから。
覚悟を決めた、私は床に座り背中を晒す。
「いい眺めね。おとなしく最初から従っていればよかったのよ! 身の程を知りなさい」
侯爵夫人は満足げな声とともに、私の後方で鞭を構えた。
私が痛みに備えて、目を閉じたときだった。
「一体、何をしている?」
そんな声とともにノックもなくドアが開く。
「ロア様?」
王妃教育実施中は基本的に立ち入り禁止だ。
どうして、ロア様がここに? と私は驚きで目を瞬かせる。
私の格好を見て表情を一層険しくさせたロア様が私に駆け寄ると無言で上着をふわりとかけてくれた。
「侯爵夫人、よもや私の婚約者にその手に持っている鞭で打とうとしていたのではあるまいな」
ぞっとするほど冷たい声に私の方が気圧される。
いつものホワホワふわふわした可愛い王子様はどこ行った!? と私はロア様から視線を外せなくなる。
「で、殿下! こ、これは……この子があまりに言うことを聞かず、必要なペナルティーで」
動揺しているのは私だけではないらしい。震える声で答えようとした侯爵夫人に、
「黙れ、発言を許可した覚えはない」
ロア様は言い訳すらさせない。
「ヴァレンティ侯爵家には追って沙汰を出す。逃れられると思わない事だ」
冷たい、冷たい、ロア様の声。
『リティカ・メルティー公爵令嬢。今この時を以ってお前との婚約を破棄する』
その声が、態度が、ゲームで見た悪役令嬢断罪イベントを思い出させる。
ダメだ。
このままじゃ、絶対ダメ! ロア様があんな風になってしまう。
私は奥歯を噛み締め、カタカタと震える身体に喝を入れると立ち上がってロア様の襟首を掴む。
「私の獲物を横取りだなんて、いけない王子様ですこと」
私は悪役令嬢だ。
こんな所で攻略キャラに負けたりしないっ!
「……リティカ」
困惑した藍色の瞳を目に映した私は、ロア様を牽制する。
「これは、王妃教育の一環ですわ。ロア様は手出し無用です」
録画を止めた映像記録水晶から一部の写真を魔法で転写し取り出すとロア様に見せる。
そこには私を鞭で叩こうと構える侯爵夫人が映し出されていた。
「勿論、証拠映像もございます。それともこれからあなたを支えていこうかというこの私が、この程度の些事御せないとでもお思いで?」
悪役令嬢らしく傲慢に、華麗に私は笑って見せると放心している侯爵夫人に写真を投げつける。
「ヴァレンティ侯爵夫人、次のレッスンは、法廷でお会いしましょう? ごきげんよう」
私は優雅にスカートの裾を持ち上げて、淑女らしく礼をして、ロア様を促し部屋を後にした。
何度も何度も洗脳するかのように侯爵夫人がずっと私に言い続けてきた言葉の暴力。
私の中身が本当に幼い子どもであったなら、その通りに受け取って間違った方向に育っていたのだろう。可哀想なゲームの中のリティカ。でも私はそうはならない。
「さぁ、服を脱いで床に座り後ろ向きなさい」
再び促された私は、煽りすぎたかとため息をついて後ろを向くと仕方なくブラウスのボタンを外す。
むち打ちは手や腕でもまぁまぁ痛かったけど、容赦なく背中に打ち込まれたらどれぐらい痛いのだろう。
今日で最後だから。
覚悟を決めた、私は床に座り背中を晒す。
「いい眺めね。おとなしく最初から従っていればよかったのよ! 身の程を知りなさい」
侯爵夫人は満足げな声とともに、私の後方で鞭を構えた。
私が痛みに備えて、目を閉じたときだった。
「一体、何をしている?」
そんな声とともにノックもなくドアが開く。
「ロア様?」
王妃教育実施中は基本的に立ち入り禁止だ。
どうして、ロア様がここに? と私は驚きで目を瞬かせる。
私の格好を見て表情を一層険しくさせたロア様が私に駆け寄ると無言で上着をふわりとかけてくれた。
「侯爵夫人、よもや私の婚約者にその手に持っている鞭で打とうとしていたのではあるまいな」
ぞっとするほど冷たい声に私の方が気圧される。
いつものホワホワふわふわした可愛い王子様はどこ行った!? と私はロア様から視線を外せなくなる。
「で、殿下! こ、これは……この子があまりに言うことを聞かず、必要なペナルティーで」
動揺しているのは私だけではないらしい。震える声で答えようとした侯爵夫人に、
「黙れ、発言を許可した覚えはない」
ロア様は言い訳すらさせない。
「ヴァレンティ侯爵家には追って沙汰を出す。逃れられると思わない事だ」
冷たい、冷たい、ロア様の声。
『リティカ・メルティー公爵令嬢。今この時を以ってお前との婚約を破棄する』
その声が、態度が、ゲームで見た悪役令嬢断罪イベントを思い出させる。
ダメだ。
このままじゃ、絶対ダメ! ロア様があんな風になってしまう。
私は奥歯を噛み締め、カタカタと震える身体に喝を入れると立ち上がってロア様の襟首を掴む。
「私の獲物を横取りだなんて、いけない王子様ですこと」
私は悪役令嬢だ。
こんな所で攻略キャラに負けたりしないっ!
「……リティカ」
困惑した藍色の瞳を目に映した私は、ロア様を牽制する。
「これは、王妃教育の一環ですわ。ロア様は手出し無用です」
録画を止めた映像記録水晶から一部の写真を魔法で転写し取り出すとロア様に見せる。
そこには私を鞭で叩こうと構える侯爵夫人が映し出されていた。
「勿論、証拠映像もございます。それともこれからあなたを支えていこうかというこの私が、この程度の些事御せないとでもお思いで?」
悪役令嬢らしく傲慢に、華麗に私は笑って見せると放心している侯爵夫人に写真を投げつける。
「ヴァレンティ侯爵夫人、次のレッスンは、法廷でお会いしましょう? ごきげんよう」
私は優雅にスカートの裾を持ち上げて、淑女らしく礼をして、ロア様を促し部屋を後にした。