追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「……やっぱり、ロア様が見つけるのがお上手なのだと思いますわ」
と言いながら私は隣に座るロア様に寄りかかる。
そんなロア様だから、私は好きになったのだ。
ロア様が私の事を好きでなかったとしても、少なくともロア様は私自身を見てくれる。それで充分だった。
だから、家門の力で後ろ盾になってあげたくて、お嫁さんになりたいと思ったのだ。ロア様の地位を確立させられるのは、自分しかいないと勘違いして。
前世を思い出せて本当に良かったと、今なら思う。
「……私、ロア様を幸せにしたいです」
この婚約は人生上は間違いだったけれど、ゲーム的には正解で。
「リティーが私を幸せにしてくれるの?」
お邪魔ムシの悪役令嬢は王子ルートではヒロインと攻略対象を結びつけるキューピットだから。
私は、悪役令嬢である事を誇りに思う。
「ええ、もちろんですわ」
ロア様の幸せもヒロインの活躍も見たいと願う欲張りな悪役令嬢の私は、年頃になったら正しく彼から婚約破棄されるのだ。
だから、やっぱり王子ルート以外は潰さなくてはと改めて決意する。
「ロア様、いつも私のワガママに付き合ってくださりありがとうございます」
「さて、何のことだろう?」
くすりと笑う、ロア様はいつもと変わらない口調でそういった。
「あ〜もぅ! ロア様、優しさの塊かっ! ロア様は優しさと可愛いでできてるの? 尊いが過ぎる」
私の王子様可愛い、推せる要素しか見当たらないと私はクスクス笑う。
「あはは、リティカは時々意味不明な言葉を口にするね」
「いえ、結構真面目に言っているのですけれど」
分かったようなフリをして、上辺を撫でた言葉を口にすることもなく、そこにいてくれる誰か。
私はロア様のその優しさに何度救われたか分からない。
だから。
「私、ロア様が大好きですよ」
いつか悪役令嬢である私はロア様に嫌われてしまうのだけど、きっとリティカ・メルティーはずっとロア様の事をヒロイン共々推し続けるんだろう。
「……知ってるよ」
窓から差し込む月の光に照らされて、ロア様の蜂蜜色の金糸がキラキラと輝く。眩くて尊い、私の可愛い王子様。
彼をはじめとした私の"大好き"を守るためならば、私は喜んで悪事に手を染めようと思う。
だって、きっと悪役令嬢にしかできないこともあるでしょう?
「ロア様、カラスを一羽貸してくださる? お父様にもお兄様にも内緒で」
「今度は何をするつもりなんだい? リティー」
「ふふ、大した事は致しませんよ?」
私は藍色の瞳を覗き込んでイタズラを企む子どものように笑う。
「ちょっと、人を攫ってこようかと思いまして」
ゲームの知識を持っている悪役令嬢にしかできないこと。
それはきっと、シナリオを歪めるために必要なこと。
「それは、リティカがしなきゃいけない?」
訝しげな視線をよこす、ロア様に笑顔でうなずくと、
「大丈夫。リティカはいつでもロア様の味方です」
シナリオ通り、あなたにこの国から追放されるその日までと心の中で付け足して、私はロア様にそう誓う。
「危ない事はダメだよ?」
「危なくないように、カラスを貸して頂きたいのです」
言い出したら聞かない、ワガママな婚約者の申し出に少しだけ思案するように宙を仰いだロア様は、
「ちゃんとおうちに帰ること。約束できる?」
「当たり前じゃないですか、私の居場所はここにしかないのですから」
私はロア様に小指を差し出す。
「はぁ、リティーは言い出したら聞かないから」
この間のお詫びにとロア様は指切りをしてカラスを貸してくれる約束をした。
と言いながら私は隣に座るロア様に寄りかかる。
そんなロア様だから、私は好きになったのだ。
ロア様が私の事を好きでなかったとしても、少なくともロア様は私自身を見てくれる。それで充分だった。
だから、家門の力で後ろ盾になってあげたくて、お嫁さんになりたいと思ったのだ。ロア様の地位を確立させられるのは、自分しかいないと勘違いして。
前世を思い出せて本当に良かったと、今なら思う。
「……私、ロア様を幸せにしたいです」
この婚約は人生上は間違いだったけれど、ゲーム的には正解で。
「リティーが私を幸せにしてくれるの?」
お邪魔ムシの悪役令嬢は王子ルートではヒロインと攻略対象を結びつけるキューピットだから。
私は、悪役令嬢である事を誇りに思う。
「ええ、もちろんですわ」
ロア様の幸せもヒロインの活躍も見たいと願う欲張りな悪役令嬢の私は、年頃になったら正しく彼から婚約破棄されるのだ。
だから、やっぱり王子ルート以外は潰さなくてはと改めて決意する。
「ロア様、いつも私のワガママに付き合ってくださりありがとうございます」
「さて、何のことだろう?」
くすりと笑う、ロア様はいつもと変わらない口調でそういった。
「あ〜もぅ! ロア様、優しさの塊かっ! ロア様は優しさと可愛いでできてるの? 尊いが過ぎる」
私の王子様可愛い、推せる要素しか見当たらないと私はクスクス笑う。
「あはは、リティカは時々意味不明な言葉を口にするね」
「いえ、結構真面目に言っているのですけれど」
分かったようなフリをして、上辺を撫でた言葉を口にすることもなく、そこにいてくれる誰か。
私はロア様のその優しさに何度救われたか分からない。
だから。
「私、ロア様が大好きですよ」
いつか悪役令嬢である私はロア様に嫌われてしまうのだけど、きっとリティカ・メルティーはずっとロア様の事をヒロイン共々推し続けるんだろう。
「……知ってるよ」
窓から差し込む月の光に照らされて、ロア様の蜂蜜色の金糸がキラキラと輝く。眩くて尊い、私の可愛い王子様。
彼をはじめとした私の"大好き"を守るためならば、私は喜んで悪事に手を染めようと思う。
だって、きっと悪役令嬢にしかできないこともあるでしょう?
「ロア様、カラスを一羽貸してくださる? お父様にもお兄様にも内緒で」
「今度は何をするつもりなんだい? リティー」
「ふふ、大した事は致しませんよ?」
私は藍色の瞳を覗き込んでイタズラを企む子どものように笑う。
「ちょっと、人を攫ってこようかと思いまして」
ゲームの知識を持っている悪役令嬢にしかできないこと。
それはきっと、シナリオを歪めるために必要なこと。
「それは、リティカがしなきゃいけない?」
訝しげな視線をよこす、ロア様に笑顔でうなずくと、
「大丈夫。リティカはいつでもロア様の味方です」
シナリオ通り、あなたにこの国から追放されるその日までと心の中で付け足して、私はロア様にそう誓う。
「危ない事はダメだよ?」
「危なくないように、カラスを貸して頂きたいのです」
言い出したら聞かない、ワガママな婚約者の申し出に少しだけ思案するように宙を仰いだロア様は、
「ちゃんとおうちに帰ること。約束できる?」
「当たり前じゃないですか、私の居場所はここにしかないのですから」
私はロア様に小指を差し出す。
「はぁ、リティーは言い出したら聞かないから」
この間のお詫びにとロア様は指切りをしてカラスを貸してくれる約束をした。