追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「ふーん、つまり? 舞踏会でロア様にエスコートされるのも気に入らないし、生徒会役員候補として私のお兄様に声をかけられているのも気に食わないし、その他にもロア様の側近であるサイラス様やルシファー様に声をかけられるのが気に食わない、と」
ちなみにサイラスは宰相の息子、ルシファーは騎士団長の息子の名前でどちらとも乙女ゲームの攻略対象である。
うん、当たり前じゃん!?
ライラちゃんこの世界のヒロインぞ?
ヒロインが攻略対象と絡まなくて誰と絡むのさ、と私は思うのだけど。
「その女は行く先々ではしたなくも高位貴族の令息に色目を使うなど我が校の恥。ですからこうしてわざわざ序列というものを分かりやすく教えて差し上げているのです」
いや。
いやいやいやいやいや。
普通に無理ではないかしら? だって相手はハイスペックな上に圧倒的に家柄のいい身分の高い人間、っていうかロア様に至っては王族よ?
しかもエタラブのストーリー上向こうから声かけてきてるからね!?
無視したり断ったりなんてただの平民にできるわけがないじゃない……って、いう事がわからないはずないと思うんだけど。
「リティカ様も婚約者であるロア殿下をこの女に取られて業腹なのではありませんか?」
いや、まだ取られてないし。そもそもロア様は私のモノじゃないし。
だから嫉妬なんてしようがないんだけど、と私はこっそりため息を落とす。
私とロア様は確かに婚約してはいるけれど、だからといって恋人らしい事なんてした事はない清い関係だ。
私達は茶飲み友達、というかせいぜい仲のいい幼馴染という間柄。
私は他人のモノに興味はないので、悪役令嬢として自覚した時からずっとロア様の幸せを応援しているし、婚約破棄狙いで動いている。
まぁ、推し活はしてるけどね! ロア様も攻略対象らしくイケメンだし。
「ですから私共が直々に教えているのです。身の程を弁えなさい、と」
自分の主張が正しいと信じ込んでいる自信ありげな令嬢の声を聞き、私は私を見つめる令嬢とライラちゃんに視線を流しながら、
「そう、あなた達は私の事を思ってやってくれている、と?」
さて、この事態をどう終結させるか、と頭をフル回転させる。
「ええ、もちろんです! リティカ様」
「この女に制裁を!」
彼女達の冷静さを欠いた目を見て苦笑する。
あらあら、まあまあ、なんてことでしょう。
初対面の令嬢すら私の事をナチュラルに悪役に仕立ててくれるじゃない?
これも、ゲームの強制力なのかしら、と私は会ったことのない運営様を思う。
試練を与えてヒロインを成長させるのはベタなパターンなのかもしれないけれど、これは頂けないわ、と私は首を振る。
私は目を閉じて私の役割と目的を確認する。
私に振られた配役は悪役令嬢リティカ・メルティー。
悪役令嬢らしくこれから2人の恋路をアシストして王子ルートのハッピーエンドを目指しつつ、素敵なスチルを回収し、婚約破棄されて国外追放という名の海外留学をするの。
だから、やるべきことは決まっている。
「で、誰が頼んだのかしら? そんなくだらないこと」
目を開けた私は悪役令嬢らしく不敵に微笑む。
私と目が合った彼女達はまるでヘビにでも睨まれたかのように固まり、ヒュッと息を呑む。
「序列。そうねぇ、確かに躾が必要だわ。この私に逆らうなんて許さなくてよ?」
傲慢で、尊大で、ワガママな悪役令嬢らしさを意識して私は言葉を紡ぐ。
将来この国を、そしてロア様とライラちゃんを臣民として支えていくこの子達がこんな風に良識を欠く振る舞いを肯定するようになってしまったら、後々厄介。
不満は早々に取り除かなくては。
だから私は、不満や悪意をいずれいなくなる私に集まるように悪役令嬢らしく演じる。
恋物語の悪役なんて、私ひとりで充分なのだから。
ちなみにサイラスは宰相の息子、ルシファーは騎士団長の息子の名前でどちらとも乙女ゲームの攻略対象である。
うん、当たり前じゃん!?
ライラちゃんこの世界のヒロインぞ?
ヒロインが攻略対象と絡まなくて誰と絡むのさ、と私は思うのだけど。
「その女は行く先々ではしたなくも高位貴族の令息に色目を使うなど我が校の恥。ですからこうしてわざわざ序列というものを分かりやすく教えて差し上げているのです」
いや。
いやいやいやいやいや。
普通に無理ではないかしら? だって相手はハイスペックな上に圧倒的に家柄のいい身分の高い人間、っていうかロア様に至っては王族よ?
しかもエタラブのストーリー上向こうから声かけてきてるからね!?
無視したり断ったりなんてただの平民にできるわけがないじゃない……って、いう事がわからないはずないと思うんだけど。
「リティカ様も婚約者であるロア殿下をこの女に取られて業腹なのではありませんか?」
いや、まだ取られてないし。そもそもロア様は私のモノじゃないし。
だから嫉妬なんてしようがないんだけど、と私はこっそりため息を落とす。
私とロア様は確かに婚約してはいるけれど、だからといって恋人らしい事なんてした事はない清い関係だ。
私達は茶飲み友達、というかせいぜい仲のいい幼馴染という間柄。
私は他人のモノに興味はないので、悪役令嬢として自覚した時からずっとロア様の幸せを応援しているし、婚約破棄狙いで動いている。
まぁ、推し活はしてるけどね! ロア様も攻略対象らしくイケメンだし。
「ですから私共が直々に教えているのです。身の程を弁えなさい、と」
自分の主張が正しいと信じ込んでいる自信ありげな令嬢の声を聞き、私は私を見つめる令嬢とライラちゃんに視線を流しながら、
「そう、あなた達は私の事を思ってやってくれている、と?」
さて、この事態をどう終結させるか、と頭をフル回転させる。
「ええ、もちろんです! リティカ様」
「この女に制裁を!」
彼女達の冷静さを欠いた目を見て苦笑する。
あらあら、まあまあ、なんてことでしょう。
初対面の令嬢すら私の事をナチュラルに悪役に仕立ててくれるじゃない?
これも、ゲームの強制力なのかしら、と私は会ったことのない運営様を思う。
試練を与えてヒロインを成長させるのはベタなパターンなのかもしれないけれど、これは頂けないわ、と私は首を振る。
私は目を閉じて私の役割と目的を確認する。
私に振られた配役は悪役令嬢リティカ・メルティー。
悪役令嬢らしくこれから2人の恋路をアシストして王子ルートのハッピーエンドを目指しつつ、素敵なスチルを回収し、婚約破棄されて国外追放という名の海外留学をするの。
だから、やるべきことは決まっている。
「で、誰が頼んだのかしら? そんなくだらないこと」
目を開けた私は悪役令嬢らしく不敵に微笑む。
私と目が合った彼女達はまるでヘビにでも睨まれたかのように固まり、ヒュッと息を呑む。
「序列。そうねぇ、確かに躾が必要だわ。この私に逆らうなんて許さなくてよ?」
傲慢で、尊大で、ワガママな悪役令嬢らしさを意識して私は言葉を紡ぐ。
将来この国を、そしてロア様とライラちゃんを臣民として支えていくこの子達がこんな風に良識を欠く振る舞いを肯定するようになってしまったら、後々厄介。
不満は早々に取り除かなくては。
だから私は、不満や悪意をいずれいなくなる私に集まるように悪役令嬢らしく演じる。
恋物語の悪役なんて、私ひとりで充分なのだから。