追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「大丈夫ですよ、メアリー様。もうすぐ、全部片づきますから」
私はつぶやくように、私を見守り育ててくれたもう一人の母の名を口にする。私がいなくなったとしても、きっとメアリー様ならロア様が選んだライラちゃんを優しく受け入れてくれるだろう。
「……このまま、2人が上手くいってくれたら」
もうロア様は魔障の体質に悩まされる事も、毒をはじめとした暗殺に怯える事もなくなる。
ロア様の隣には絶対ライラちゃんが必要だ。
私は、長いようで短い6年を想う。
ようやく、ロア様は運命の相手と出会った。私の役目はここからが本番。
私はなんとしてでも悪役令嬢を演じ切る。
課金できなかった前世では見られなかった最高のエンディング。
王子ルートのハッピーエンドはロア様の魔障を治し、お互い背中を預け合う関係を築いて、この国とそこに生きるヒトを導いて、未来永劫幸せに生きるの。
私にはできないけれど、ライラちゃんなら、全部解決できるから。
他人任せの計画で申し訳ないけれど、課金は惜しまないので!
「物語は悪役以外幸せでないとね!」
まぁ物語を演出するために正直色々やり過ぎて、追放だけで済むか微妙なラインなので、この辺りの匙加減は気をつけようと思う。
みんな幸せになって、私は追放される。その先の物語を、私はまだ知らないけれど。
「あなただって、本当はそれを望んでいたのでしょう? リティカ」
私は断罪されたゲームの中の悪役令嬢、リティカ・メルティーを想う。
私とは違う、ゲームキャラクターとしての彼女。
きっと、彼女も王子様を愛していたのだ。多分、正しく愛されたことがなかったから、上手な愛し方が分からなかっただけで。
運営が作ったゲームのリティカと話す事などできないのだから彼女の真意は分からない。
でも、きっと分かりやすく悪役が断罪された方が平民であるライラちゃんがそのあと王妃として受け入れられやすいと思ったのではないかしら?
そうでなければ、美貌も権力も財力も兼ね備えているこの国唯一の公爵令嬢がどうしてわざわざ自ら手を汚し嫌われ役を買ってまで公開断罪なんて結末を辿るのだ。
「でも、それじゃダメなのよ。だって、私が愛しているのは、王子様だけじゃないんだから」
恋物語が終焉を迎えてもこれから先が続いていく現実世界。
ハッピーエンドのその先で、推し達が活躍する世界。その舞台まで整えてこそ、物語を支配したと言えるでしょう。
「あー悪役って本当忙しい」
さて、推し達が輝くために今日も悪役令嬢らしく活動しますか。
今後の方針が決まったところで大きく伸びをして悪役らしい笑みを浮かべた私は、ノートをマジックバッグにしまった。
私はつぶやくように、私を見守り育ててくれたもう一人の母の名を口にする。私がいなくなったとしても、きっとメアリー様ならロア様が選んだライラちゃんを優しく受け入れてくれるだろう。
「……このまま、2人が上手くいってくれたら」
もうロア様は魔障の体質に悩まされる事も、毒をはじめとした暗殺に怯える事もなくなる。
ロア様の隣には絶対ライラちゃんが必要だ。
私は、長いようで短い6年を想う。
ようやく、ロア様は運命の相手と出会った。私の役目はここからが本番。
私はなんとしてでも悪役令嬢を演じ切る。
課金できなかった前世では見られなかった最高のエンディング。
王子ルートのハッピーエンドはロア様の魔障を治し、お互い背中を預け合う関係を築いて、この国とそこに生きるヒトを導いて、未来永劫幸せに生きるの。
私にはできないけれど、ライラちゃんなら、全部解決できるから。
他人任せの計画で申し訳ないけれど、課金は惜しまないので!
「物語は悪役以外幸せでないとね!」
まぁ物語を演出するために正直色々やり過ぎて、追放だけで済むか微妙なラインなので、この辺りの匙加減は気をつけようと思う。
みんな幸せになって、私は追放される。その先の物語を、私はまだ知らないけれど。
「あなただって、本当はそれを望んでいたのでしょう? リティカ」
私は断罪されたゲームの中の悪役令嬢、リティカ・メルティーを想う。
私とは違う、ゲームキャラクターとしての彼女。
きっと、彼女も王子様を愛していたのだ。多分、正しく愛されたことがなかったから、上手な愛し方が分からなかっただけで。
運営が作ったゲームのリティカと話す事などできないのだから彼女の真意は分からない。
でも、きっと分かりやすく悪役が断罪された方が平民であるライラちゃんがそのあと王妃として受け入れられやすいと思ったのではないかしら?
そうでなければ、美貌も権力も財力も兼ね備えているこの国唯一の公爵令嬢がどうしてわざわざ自ら手を汚し嫌われ役を買ってまで公開断罪なんて結末を辿るのだ。
「でも、それじゃダメなのよ。だって、私が愛しているのは、王子様だけじゃないんだから」
恋物語が終焉を迎えてもこれから先が続いていく現実世界。
ハッピーエンドのその先で、推し達が活躍する世界。その舞台まで整えてこそ、物語を支配したと言えるでしょう。
「あー悪役って本当忙しい」
さて、推し達が輝くために今日も悪役令嬢らしく活動しますか。
今後の方針が決まったところで大きく伸びをして悪役らしい笑みを浮かべた私は、ノートをマジックバッグにしまった。