追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「で。何を考えているのですか、全く」
私は現在仁王立ちでヒロインの前に立ちはだかり、彼女の事を正座させている。
「いや、探すの面倒だし、もういっそのこと、吹き飛ばしちゃったほうが早いかな、なんて……思っちゃってですね」
そうかー。
思っちゃったかー。なかなかの脳筋思考に私は軽く目眩を覚える。
見覚えのあるそのハンマーは、ヒロインが魔物をぶっ飛ばす時に使う武器である。
魔法少女、しかも回復魔法の使い手なのに攻撃物理。
今更だけど、運営様は何を考えてこのヒロイン設定にしたのだろうか。
「はぁ、ぶっ飛ばしたあとはどうなさるおつもりでしたの?」
「あ、えーっと、テヘ⭐︎」
普通の人間がやったら絶対ダメなポーズをこのヒロイン悪びれることなくやりおった。
さすがヒロイン。可愛いが過ぎる。
じゃない!! 落ち着いて、リティカ。ここは多分、悪役令嬢としての腕の見せどころ。
「マーシェリーさん、あなたの事情は分かりました。だとしても、です。学園内での器物損壊及び遺失物横領は校則に反します。というより犯罪行為です。あと魚さんは池に返しなさい。というよりまずは池を元に戻しなさい」
「きぶつそんかい? いしつぶつおうりょう?」
私のセリフに何それ美味しいの? くらいの勢いで首を傾げて聞き返すライラちゃん。
あれ? もしかして話が通じてない?
不思議に思いつつも、
「物を壊さない。拾った落とし物は職員室へ」
私は指を立て端的にかつ簡単に言い直した。
「えー。でも、こんな池の底に落ちてる金貨なんて懐にしまっても誰も気づかないと思うんです」
今度は通じたらしく、ライラちゃんは不満気な顔でそう返す。
「手続き踏めばひと月後には合法的に全部マシェリーさんの物になります。あと魚は食べちゃダメ。それは学園の所有物です。お腹が空いているなら学食に行きなさい」
「お金、持ってないんです。学食の料金バリ高だし、かと言って寮住まいなので街に抜け出すのも難しいし。抜け出して行っても王都物価高いし」
「は? そんなのカードで」
そう言いかけた私を前にきゅるるーと可愛らしいお腹の虫が鳴る。
じっと見つめる私に、
「すみません、昨日から何も食べてなくて。この森、意外と食べ物生えてなくて」
ライラちゃんは力なくそう答える。
学校入ったらいっぱい美味しいモノ食べられるって聞いたのに自炊もままならない、と嘆くヒロイン。
え? この子食料調達から自分でやる気だったの?
…………マジでか。ヒロインジョークかと思ったが。
「あそこにいる綺麗な鳥撃ち落としちゃダメですか」
翡翠色の目が怖いくらいマジだった。
「……観賞用です。ちなみに森も人口的に整備してある観賞用。薬草やハーブ類はあっちの温室です」
食料庫の場所も教えようとして、私はやめる。今教えたら襲撃に行きかねない。いや、もう冗談じゃなくて、このままだとヒロイン一発退学だ。
代わりにカバンからサンドイッチを取り出した私は、
「とりあえず、食べながら話しましょう。まずはこの学園の仕組みについて」
ヒロインが置かれている境遇を知る事にした。
私は現在仁王立ちでヒロインの前に立ちはだかり、彼女の事を正座させている。
「いや、探すの面倒だし、もういっそのこと、吹き飛ばしちゃったほうが早いかな、なんて……思っちゃってですね」
そうかー。
思っちゃったかー。なかなかの脳筋思考に私は軽く目眩を覚える。
見覚えのあるそのハンマーは、ヒロインが魔物をぶっ飛ばす時に使う武器である。
魔法少女、しかも回復魔法の使い手なのに攻撃物理。
今更だけど、運営様は何を考えてこのヒロイン設定にしたのだろうか。
「はぁ、ぶっ飛ばしたあとはどうなさるおつもりでしたの?」
「あ、えーっと、テヘ⭐︎」
普通の人間がやったら絶対ダメなポーズをこのヒロイン悪びれることなくやりおった。
さすがヒロイン。可愛いが過ぎる。
じゃない!! 落ち着いて、リティカ。ここは多分、悪役令嬢としての腕の見せどころ。
「マーシェリーさん、あなたの事情は分かりました。だとしても、です。学園内での器物損壊及び遺失物横領は校則に反します。というより犯罪行為です。あと魚さんは池に返しなさい。というよりまずは池を元に戻しなさい」
「きぶつそんかい? いしつぶつおうりょう?」
私のセリフに何それ美味しいの? くらいの勢いで首を傾げて聞き返すライラちゃん。
あれ? もしかして話が通じてない?
不思議に思いつつも、
「物を壊さない。拾った落とし物は職員室へ」
私は指を立て端的にかつ簡単に言い直した。
「えー。でも、こんな池の底に落ちてる金貨なんて懐にしまっても誰も気づかないと思うんです」
今度は通じたらしく、ライラちゃんは不満気な顔でそう返す。
「手続き踏めばひと月後には合法的に全部マシェリーさんの物になります。あと魚は食べちゃダメ。それは学園の所有物です。お腹が空いているなら学食に行きなさい」
「お金、持ってないんです。学食の料金バリ高だし、かと言って寮住まいなので街に抜け出すのも難しいし。抜け出して行っても王都物価高いし」
「は? そんなのカードで」
そう言いかけた私を前にきゅるるーと可愛らしいお腹の虫が鳴る。
じっと見つめる私に、
「すみません、昨日から何も食べてなくて。この森、意外と食べ物生えてなくて」
ライラちゃんは力なくそう答える。
学校入ったらいっぱい美味しいモノ食べられるって聞いたのに自炊もままならない、と嘆くヒロイン。
え? この子食料調達から自分でやる気だったの?
…………マジでか。ヒロインジョークかと思ったが。
「あそこにいる綺麗な鳥撃ち落としちゃダメですか」
翡翠色の目が怖いくらいマジだった。
「……観賞用です。ちなみに森も人口的に整備してある観賞用。薬草やハーブ類はあっちの温室です」
食料庫の場所も教えようとして、私はやめる。今教えたら襲撃に行きかねない。いや、もう冗談じゃなくて、このままだとヒロイン一発退学だ。
代わりにカバンからサンドイッチを取り出した私は、
「とりあえず、食べながら話しましょう。まずはこの学園の仕組みについて」
ヒロインが置かれている境遇を知る事にした。