追放予定(希望)の悪役令嬢に転生したので、悪役らしく物語を支配する。
「あはは、でも久しぶりに人とまともに会話しました。なんか、近寄ってくる男子はよくわかんないセリフで距離近いし、女子は大概怒ってるし」
とりあえず笑っとけってお世話になった教会の人に言われたので、笑ってるんですけど、逆効果っぽい気がするとライラちゃんはからりと悩みを打ち明ける。
まぁ、確かにまともな人間関係を作るのは難しいだろうな、と思う。
彼女の周りに寄ってくる取り巻きの男子は聖乙女に傾倒しているファンだし、女子はチヤホヤされる聖乙女への嫉妬心を隠しもしない。
通常の夜会では私がロア様に近づけないように散々妨害して来たので、ぽっと出の庶民がいきなりロア様のパートナーを務めるなんて、彼の側妃の座を狙う貴族令嬢達からすれば面白くないんだろうけど。
そこではたと気づく。
「マナーはともかく、マシェリーさんダンスのご経験は?」
「あはは、あるわけないじゃないですかー! ぶっちゃけ当日に腹痛って事にしてサボろうかなって思ってます」
堂々とサボり宣言をするライラちゃん。
ちょっと待て。回復魔法の使い手が仮病だと?
なんでそれでいけると思っちゃったかな!?
「……あなた、光魔法を評価されてこの学園に来たのをお忘れですか?」
一応嗜めてみるも。
「メンタル面には効かないんで、散々令嬢達に嫌がらせされたからってハラハラ泣けば許されるかなって。王子様優しいし」
証拠と証人押さえときましたと、親指を立てて舞踏会をサボる気満々のヒロイン。
「そもそもの話、王子様に婚約者いるなら、ぶっちゃけ私パートナーとして不要じゃないですか? 何その当て馬ポジション。偉い人の考えることマジで意味不明なんですけど」
などとあっけらかんと言い放つライラちゃんの主張を聞きつつ私は額を押さえる。
いや。
いやいやいやいや。
その当て馬ポジション私の、ではなくて!
「そんなわけで私精霊祭のお勤め後はいないので、王子様のパートナーよろしくです!」
何解決! みたいなスッキリした顔をしてくださっているのかしら、このヒロインは。
「許しませんよ、マシェリーさん」
私はお兄様を真似た秘技絶対零度の視線で彼女を睨む。
私の雰囲気が急に変わったからか、ピッとライラちゃんの背筋が伸びる。
「あなた、ロア様に恥をかかせるおつもり?」
舞踏会のおサボりだとぅ?
ヒロインにそんなことされたら素敵美スチルの回収ができないじゃない!!
悪役令嬢の名にかけて、そんなの絶対許さないわ。
「えーと、メルティー公爵令嬢?」
「やった事がないのなら、今すぐ覚えなさい。全部叩き込んで差し上げます」
私はどうやら思い違いをしていたようだ。乙女ゲームのヒロインは最初からなんでもできるスーパーガールなのではない。
乙女の皆様が丹精込めて育成するから、ヒロインになるのだ。
「え? えっ!? 別に、いら」
「あなたが食べたサンドイッチとコーヒー、プリン合わせて1万クラン」
「え、ごはんはくれたんじゃ」
「世の中にタダのモノなど何一つとしてありません。ちなみにこの学園の備品は我が公爵家の多大なる寄付によって賄われています。破壊した総額はそうね、1000万クランと言ったところかしら」
あとあなたが食べようとした魚は1匹10万クランですと告げるとライラちゃんは自主的に正座し、カタカタ震え出した。
「さて、物の価値をご理解頂けた所でお尋ねします。今すぐ耳を揃えて払います? それとも淑女レッスンを受けて舞踏会に出ます?」
舞踏会に出るならここの費用建て替えてあげますけど、と言った瞬間食い気味にライラちゃんは舞踏会への参加を表明した。
「私の指導は厳しいですわよ。覚悟なさい?」
「うぅ、頑張りますぅ」
こうして私はライラちゃんを王子ルートに相応しいヒロインに育成する事にした。
とりあえず笑っとけってお世話になった教会の人に言われたので、笑ってるんですけど、逆効果っぽい気がするとライラちゃんはからりと悩みを打ち明ける。
まぁ、確かにまともな人間関係を作るのは難しいだろうな、と思う。
彼女の周りに寄ってくる取り巻きの男子は聖乙女に傾倒しているファンだし、女子はチヤホヤされる聖乙女への嫉妬心を隠しもしない。
通常の夜会では私がロア様に近づけないように散々妨害して来たので、ぽっと出の庶民がいきなりロア様のパートナーを務めるなんて、彼の側妃の座を狙う貴族令嬢達からすれば面白くないんだろうけど。
そこではたと気づく。
「マナーはともかく、マシェリーさんダンスのご経験は?」
「あはは、あるわけないじゃないですかー! ぶっちゃけ当日に腹痛って事にしてサボろうかなって思ってます」
堂々とサボり宣言をするライラちゃん。
ちょっと待て。回復魔法の使い手が仮病だと?
なんでそれでいけると思っちゃったかな!?
「……あなた、光魔法を評価されてこの学園に来たのをお忘れですか?」
一応嗜めてみるも。
「メンタル面には効かないんで、散々令嬢達に嫌がらせされたからってハラハラ泣けば許されるかなって。王子様優しいし」
証拠と証人押さえときましたと、親指を立てて舞踏会をサボる気満々のヒロイン。
「そもそもの話、王子様に婚約者いるなら、ぶっちゃけ私パートナーとして不要じゃないですか? 何その当て馬ポジション。偉い人の考えることマジで意味不明なんですけど」
などとあっけらかんと言い放つライラちゃんの主張を聞きつつ私は額を押さえる。
いや。
いやいやいやいや。
その当て馬ポジション私の、ではなくて!
「そんなわけで私精霊祭のお勤め後はいないので、王子様のパートナーよろしくです!」
何解決! みたいなスッキリした顔をしてくださっているのかしら、このヒロインは。
「許しませんよ、マシェリーさん」
私はお兄様を真似た秘技絶対零度の視線で彼女を睨む。
私の雰囲気が急に変わったからか、ピッとライラちゃんの背筋が伸びる。
「あなた、ロア様に恥をかかせるおつもり?」
舞踏会のおサボりだとぅ?
ヒロインにそんなことされたら素敵美スチルの回収ができないじゃない!!
悪役令嬢の名にかけて、そんなの絶対許さないわ。
「えーと、メルティー公爵令嬢?」
「やった事がないのなら、今すぐ覚えなさい。全部叩き込んで差し上げます」
私はどうやら思い違いをしていたようだ。乙女ゲームのヒロインは最初からなんでもできるスーパーガールなのではない。
乙女の皆様が丹精込めて育成するから、ヒロインになるのだ。
「え? えっ!? 別に、いら」
「あなたが食べたサンドイッチとコーヒー、プリン合わせて1万クラン」
「え、ごはんはくれたんじゃ」
「世の中にタダのモノなど何一つとしてありません。ちなみにこの学園の備品は我が公爵家の多大なる寄付によって賄われています。破壊した総額はそうね、1000万クランと言ったところかしら」
あとあなたが食べようとした魚は1匹10万クランですと告げるとライラちゃんは自主的に正座し、カタカタ震え出した。
「さて、物の価値をご理解頂けた所でお尋ねします。今すぐ耳を揃えて払います? それとも淑女レッスンを受けて舞踏会に出ます?」
舞踏会に出るならここの費用建て替えてあげますけど、と言った瞬間食い気味にライラちゃんは舞踏会への参加を表明した。
「私の指導は厳しいですわよ。覚悟なさい?」
「うぅ、頑張りますぅ」
こうして私はライラちゃんを王子ルートに相応しいヒロインに育成する事にした。