この結婚が間違っているとわかってる

小花が仕事を終えたのは定時から一時間ほどが過ぎた頃。

急きょインタビューの仕事が入ったため、本来の自分の仕事が後回しになってしまったからだ。

会社の外に出て大きく伸びをする。今日も一日頑張ったと、自分を褒めてから歩き出した。

駅に向かいながらふと思い出すのは今日のインタビューのこと。拓海と雰囲気が似ていた倉橋のことをつい考えてしまう。

インタビューはスムーズに進んだ。倉橋の答えに対して小花がさらに質問を重ねても彼は丁寧に答えてくれた。

中には面倒そうな態度や、適当に答えて早く終わらせようとする社員もいると聞くので、今日の倉橋の協力的な態度が小花にはとてもありがたかった。

それにしても話せば話すほど倉橋は拓海と似ていた。

雰囲気だけではなくて学生時代にテニス部に入っていたことや、旅行が趣味なこと、DIYにハマっていること、好きな食べ物や動物まで同じだったのには驚いた。

倉橋と話していると拓海を思い出すからだろう。インタビューは楽しくて、このままずっと話をしていたいと思ったほどだ。
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