この結婚が間違っているとわかってる
(また会えるかな)
同じ会社に勤務しているとはいえ小花が倉橋と会う機会はほとんどない。広報課と営業部はフロアも違えば業務も異なるのであまり関りがないのだ。
今日のインタビューのようなきっかけでもない限り、社内で小花が倉橋と顔を合わせることはないだろう。
それでもまたどこかで会えないだろうかと期待してしまう。もっと倉橋と話してみたいし、もっと仲良くなれたら……。
そんなことを思っているうちにマンションに到着していた。
伊織との結婚を機に越してきたここは高級マンションだけあって内装のグレードがとても高い。広いリビングの床は贅沢に大理石があしらわれているし、キッチンやバスなども最新の設備が整っている。
なにより四十五階の最上階からの眺めは最高に良くて、晴れている日は都内を一望できるし、夜は夜景が広がっている。
伊織と一緒に暮らしてはいるがお互いに私室があるのでプライベートスペースはきちんと確保されていて、もちろん寝室も別々。
小花としては高級マンションで伊織とシェアハウスをしているような感覚だ。