この結婚が間違っているとわかってる

家具メーカーに勤務する拓海の出張先は北欧だと聞いている。

海外との取引もあるので、その業務を任されている部署に所属する拓海は海外出張の頻度も多い。そのたびにこうして小花のためにお土産を買ってきてくれるのだが、咲と結婚してからも続けてくれるようだ。

おそらく小花が拓海の弟である伊織の妻だからだろう。幼馴染のままだったら妻である咲に誤解を与えないため拓海は小花にお土産を買ってきてくれなかったはずだ。

拓海の義理の妹になったからこそ、こうして変わらずにお土産を買って渡しに来てくれたのだと思うと、伊織と結婚してよかったと小花は思った。

コーヒーを飲みながら、拓海が出張先の国で食べて美味しかったという料理の話でしばらく盛り上がっていたのだが、ふと小花は今日の仕事での出来事を思い出す。

拓海の話も一区切りがついた頃に話題を変えた。

「そういえば今日仕事で社内報のインタビューをしたの」
「うまくできたか? 小花のことだからなにか失敗したんじゃないか」

小花はぎくりと体が跳ねた。その通りなので苦笑する。
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