岩泉誠太郎の恋
川口さんとの面談を終え、帰宅した私は坂井君に電話をかけた。
『椿ちゃん?電話してくるなんて珍しいね、どうかした?』
「内定が確定してたんだけど」
『え?』
「私、騙されてるのかな?」
『ん?だって先生の紹介でしょ?そんなわけないじゃん』
「先生も騙されてるかもしれないじゃん?新手の就活詐欺とか?」
『どういうこと?研修代とか言ってお金を請求されたとか?』
「いや、長期休みに有給のインターンに入って欲しいって言われた」
『どの辺が騙されてると感じるのか、ちょっとわからないんだけど』
「私もわからない。OBの人が若いイケメンだったからかな?」
『どっちにしても、インターンで働けるなら騙されてるかも含めて確認できるじゃん?仕事の内容的にはどうだったの?興味は持てた?』
「うん。仕事はいい感じだった」
『いいと思えたなら深く考えないで飛び込んでみてもいいんじゃない?昔と違って今はキャリアアップ転職も珍しくないし。経験を積むいいチャンスだと思うよ』
坂井君の言う通りなのかもしれない。逆に考えれば、騙されてると感じてしまうくらい条件がいいということなのだ。条件が良過ぎて怯んでしまうが、それを理由にこの話を蹴るのはあまりにも惜しい気がする。
「うん。そうだね。わかった。とりあえずインターンの話を受けてみることにする」
その後川口さんに連絡して内定の話を一旦止めてもらい、冬休みからインターンとして働かせてもらえるようお願いした。
実際に働き出すと詐欺疑惑は一瞬で吹き飛んだ。私が関われるのはまだほんの一部でしかないけれど、学びも多く、やりがいがありそうな仕事だなと感じられた。
正直アラビア語に触れる機会はほとんどなくて、海外とのやり取りは英語が基本のようだった。ただ、極まれにアラビア語が必要になることがあって、そんな時には私のアラビア語の能力が手放しで喜ばれた。
我ながら単純過ぎるなと思いつつも、私は感動してしまった。
語学は私の趣味で、その中でもアラビア語は特に面白いと感じられた言語なのだ。ただの趣味でしかなかったアラビア語が、実際に仕事で役立ち、認められたと感じた。
そんなに甘いものではないとわかってはいるが、この仕事をやってみたいと思うには十分過ぎる出来事だった。
冬休みが終わってから川口さんと改めて面談し、入社を希望する意思があることを伝えた。
「いやー良かった。強引に話を進めちゃったから、俺怪しかったでしょ?反省してたんだ。職場の人達も安田さんのこと気に入ってたから、逃げられたらどうしようかと思って、実は焦ってたんだよね」
「とんでもないです。こんなにいいチャンスを与えてもらえて、本当に光栄です」
「前に話してた通り、とりあえず入社試験は受けてもらう必要があるけど、このまま話を進めてもいいんだよね?」
「はい。よろしくお願いします」
『椿ちゃん?電話してくるなんて珍しいね、どうかした?』
「内定が確定してたんだけど」
『え?』
「私、騙されてるのかな?」
『ん?だって先生の紹介でしょ?そんなわけないじゃん』
「先生も騙されてるかもしれないじゃん?新手の就活詐欺とか?」
『どういうこと?研修代とか言ってお金を請求されたとか?』
「いや、長期休みに有給のインターンに入って欲しいって言われた」
『どの辺が騙されてると感じるのか、ちょっとわからないんだけど』
「私もわからない。OBの人が若いイケメンだったからかな?」
『どっちにしても、インターンで働けるなら騙されてるかも含めて確認できるじゃん?仕事の内容的にはどうだったの?興味は持てた?』
「うん。仕事はいい感じだった」
『いいと思えたなら深く考えないで飛び込んでみてもいいんじゃない?昔と違って今はキャリアアップ転職も珍しくないし。経験を積むいいチャンスだと思うよ』
坂井君の言う通りなのかもしれない。逆に考えれば、騙されてると感じてしまうくらい条件がいいということなのだ。条件が良過ぎて怯んでしまうが、それを理由にこの話を蹴るのはあまりにも惜しい気がする。
「うん。そうだね。わかった。とりあえずインターンの話を受けてみることにする」
その後川口さんに連絡して内定の話を一旦止めてもらい、冬休みからインターンとして働かせてもらえるようお願いした。
実際に働き出すと詐欺疑惑は一瞬で吹き飛んだ。私が関われるのはまだほんの一部でしかないけれど、学びも多く、やりがいがありそうな仕事だなと感じられた。
正直アラビア語に触れる機会はほとんどなくて、海外とのやり取りは英語が基本のようだった。ただ、極まれにアラビア語が必要になることがあって、そんな時には私のアラビア語の能力が手放しで喜ばれた。
我ながら単純過ぎるなと思いつつも、私は感動してしまった。
語学は私の趣味で、その中でもアラビア語は特に面白いと感じられた言語なのだ。ただの趣味でしかなかったアラビア語が、実際に仕事で役立ち、認められたと感じた。
そんなに甘いものではないとわかってはいるが、この仕事をやってみたいと思うには十分過ぎる出来事だった。
冬休みが終わってから川口さんと改めて面談し、入社を希望する意思があることを伝えた。
「いやー良かった。強引に話を進めちゃったから、俺怪しかったでしょ?反省してたんだ。職場の人達も安田さんのこと気に入ってたから、逃げられたらどうしようかと思って、実は焦ってたんだよね」
「とんでもないです。こんなにいいチャンスを与えてもらえて、本当に光栄です」
「前に話してた通り、とりあえず入社試験は受けてもらう必要があるけど、このまま話を進めてもいいんだよね?」
「はい。よろしくお願いします」