あなたは運命の人

「でね、今度会いませんか?って聞いてみたんだけど、調整してみるねって返事が来たんだ! やっと会えるかもしれないの!」

 休日の昼下がり、おしゃれなカフェにて。今日は幼馴染みの彼女と女子会を開いていた。
 お互い独身同士、婚活中の彼女とはこうして定期的に現状報告をしあっていて、彼女は私の幼い頃からの運命の人論を全て知っているので、いつもうんうんと聞いてくれる、かけがえのない私の理解者だった。そんな彼女が、

「……なんか、怪しくない?」

 と、私の話を一通り聞き終えた後に感想を述べる。怪しい? 一体何の事を言っているのだろうと首を傾げると、「その人、ケイタさん」と告げられる。

「え! どこが!」

「どこがって、大体全体的にだよ。顔分かんないし、何の仕事かも分かんないし、返事遅いし、なんか何もかも謎じゃん。てか、何より出会い方が一番やばい! 第一声が運命の人を信じますかって、どう考えても詐欺か宗教じゃん!」

「! なっ、」

 なんて事を言うんだこの人は!!

 “詐欺か宗教じゃん”その言葉は、最近の私の人生の中で一番言われたくない、言われて嫌な気持ちになった言葉だった。

「それはきっとさ、運命の人を信じてるかどうかがケイタさんにとっても大事な事だから、だから最初に聞いてくれたんだよ! お互いの時間が無駄にならないようにって。分かるでしょ?」

「そう言う考えの人がいるっていうのは桜との付き合いで分かってるけど、一般的にはそんな内容のメッセージを送ってくる人はブロックするものだよ」

「でも私はしなかった! 私達は同じ考えを持っている人だったって事が最速で分かったって事じゃん!」
< 4 / 23 >

この作品をシェア

pagetop