『恋しくて ! 』 - I miss you -

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日向 瑛   (ひゅうが あきら)   34才 会社員
日向 亜佳里 (ひゅうが あかり)   32才  看護師
日向 未由  (ひゅうが みゆ)      8才

セラピスト イーヤーシクリニック

黒田 劉   (くろだ りゅう)    38才 
菊池鞠    (きくちまり)  36才
澁澤 櫂(しぶさわ かい)        25才 イラストレーター(売れっ子)

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1.
" No Way 有り得ない"


某年8月
 夫が不倫をしていた。



 それは私にとって青天の霹靂としか言いようの
ないもので、3年もの長きに亘る不倫だった。

 私にバレて、夫自ら2人の関係を強制終了させた。


 夫はきっぱり別れたから、と私との再構築を強く望んでいるが
許してあげなくちゃとは思うものの、私はなかなか受け入れることが
できず。


 どうしたら、どんな風な考え方をすればこんなの
大したことじゃないって思えるのだろう。



 どうすれば彼を許して再構築できるというのだろう!


 でも、浮気相手に本気じゃなかったのなら、夫の提案を
受け入れてもいいんじゃない?


 あの日のことを思い出すだけで何とも言えない気持ちになる。


          ◇ ◇ ◇ ◇




 珍しく夜にメールが届いた。
 私はメールをリビングで受け取った。


 携帯に届いた知らないアドレスからの1通のメールには
文章と共に男性の後ろ姿が映った画像が添付されていた。 
 
 ・・・あなたの旦那、他所で浮気してますよ・・・

 最初は悪い悪戯だと思った。


 画像も肝心の顔が映ってなくて、後ろ姿だし
小さくて本人だと断定できる代物じゃあないし、で。

 ただ気になったことがあった。



 画像の中の男性は上は半裸で、下半身はホテルの白い
バスタオルを巻いており、ベッドを背に、側に備え付けられて
いる小さなサイドボードの上にあるカバンを開けて
何かしている風だった。



 設定としては、男性の立つ位置からすると真後ろにある
ベッドを挟んで佇む人物が、すぐ側で隠し撮りしたのだろうことが
伺えた。


 そのカバンが夫の持っているカバンによく似ていた。


 だけど、特徴のあるカバンじゃない。
 誰でも持っていそうなカバンなのだ。
 たまたまよ、そう思った。


 だけど、とにかく気持ち悪い。
 私は疑いを早く払拭したかった。



 夫と一緒に誰がこんな気分の悪い悪戯するのかしらね?
と言いたかった。


 晩酌をしていた夫は、ほろ酔い加減でウトウトとソファで
うたた寝をしていた。

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