30日後に死ぬ吸血鬼と30日後に花嫁になる毒姫
おもてなし
ザクスミルキは先程作ったパスタの残りを温める。
眠りかけていたバイセイをバイダイがごまかし寝室へ連れて行った。
「……寿命が尽きそうなゴーレムか? ゴーレムの土は貴重なもの。わざわざ壊れかけのゴーレムが尽きるのを待つより潰して再利用……」
ザクスミルキはラーテを睨みつける。
「悪かった」
「いいえ。どうぞ、私の作ったものなので、お口に合うかわかりませんが」
「いや、助かる。美味そうな匂いがして此処に辿り着けた。いただきます」
「身体は大丈夫ですか?」
「あぁ」
ザクスミルキは毒が気になって聞いているのだが、ラーテは全く気にしていない。
綺麗な仕草だが、男性らしくザクスミルキはすぐに平らげ自分のいつもの量と思って盛ったパスタはすぐになくなった。
「美味い」
「あっサンドイッチも作りましょうか」
「ありがとう」
十年ぶり以上の会話。
ザクスミルキは内心すごく緊張して、なんとも言えない気持ちだった。
どう接したらいいかわからないけれど、ラーテの反応を見るととりあえず普通に接することができているようにも思う。
葉野菜と食パンは貴重だが、客人のためにハムと一緒に挟む。
男性はやはりよく食べるに違いない、と2つ作った。
ちらっとラーテを見ると、自分を見ていたのか目があった。
「あ、あのおまたせしました」
「いただきます。おお、美味い。うん、いい嫁さんになれるな」
「……なっ……」
サンドイッチを食べ始めたラーテ。
ただの軽口。
小説を読むのが好きなザクスミルキは、村人がそんな会話をするシーンを何度か読んだことがある。
料理が上手な年頃の娘に言う何気ない言葉だ。
だけど今の彼女には重たい言葉――。
「……なれるわけないんです……」
「毒があるから……?」
バグっとラーテがまた齧りつく。
「そう……死んでしまうんですよ」
「愛してる男を殺す毒姫……毒の花嫁」
はっきり言われ、息が一瞬止まる。
「ごめんごめん……毒姫。俺はね、君に会いに来たんだ。君を救うためにね」
「私を……?」
「そして俺を助けてくれ……毒姫」
「あなたを?」
「俺はもう死にたいんだ。あんたの毒で俺は死にたい」
まさかの男の答え。
「交換条件だよ。お互いにとって、とてもいい話だ」
サンドイッチを食べ終えたラーテ。
「酒でも飲みながら、少し話そうか」
先程まで倒れていたのは嘘なのではないか、と思うほどラーテはにっこり微笑んだ。
眠りかけていたバイセイをバイダイがごまかし寝室へ連れて行った。
「……寿命が尽きそうなゴーレムか? ゴーレムの土は貴重なもの。わざわざ壊れかけのゴーレムが尽きるのを待つより潰して再利用……」
ザクスミルキはラーテを睨みつける。
「悪かった」
「いいえ。どうぞ、私の作ったものなので、お口に合うかわかりませんが」
「いや、助かる。美味そうな匂いがして此処に辿り着けた。いただきます」
「身体は大丈夫ですか?」
「あぁ」
ザクスミルキは毒が気になって聞いているのだが、ラーテは全く気にしていない。
綺麗な仕草だが、男性らしくザクスミルキはすぐに平らげ自分のいつもの量と思って盛ったパスタはすぐになくなった。
「美味い」
「あっサンドイッチも作りましょうか」
「ありがとう」
十年ぶり以上の会話。
ザクスミルキは内心すごく緊張して、なんとも言えない気持ちだった。
どう接したらいいかわからないけれど、ラーテの反応を見るととりあえず普通に接することができているようにも思う。
葉野菜と食パンは貴重だが、客人のためにハムと一緒に挟む。
男性はやはりよく食べるに違いない、と2つ作った。
ちらっとラーテを見ると、自分を見ていたのか目があった。
「あ、あのおまたせしました」
「いただきます。おお、美味い。うん、いい嫁さんになれるな」
「……なっ……」
サンドイッチを食べ始めたラーテ。
ただの軽口。
小説を読むのが好きなザクスミルキは、村人がそんな会話をするシーンを何度か読んだことがある。
料理が上手な年頃の娘に言う何気ない言葉だ。
だけど今の彼女には重たい言葉――。
「……なれるわけないんです……」
「毒があるから……?」
バグっとラーテがまた齧りつく。
「そう……死んでしまうんですよ」
「愛してる男を殺す毒姫……毒の花嫁」
はっきり言われ、息が一瞬止まる。
「ごめんごめん……毒姫。俺はね、君に会いに来たんだ。君を救うためにね」
「私を……?」
「そして俺を助けてくれ……毒姫」
「あなたを?」
「俺はもう死にたいんだ。あんたの毒で俺は死にたい」
まさかの男の答え。
「交換条件だよ。お互いにとって、とてもいい話だ」
サンドイッチを食べ終えたラーテ。
「酒でも飲みながら、少し話そうか」
先程まで倒れていたのは嘘なのではないか、と思うほどラーテはにっこり微笑んだ。