図書室の姫
「…前から思ってたんだが…」
帰り道手を引かれている久野が呟いた。
「…なに?」
「お前が笑うと…悲しくなる……なんか、笑顔の向こうに何がある気がし…て…」
「っ…!」
俺は込み上げてくる、感情に戸惑い、言い当てられたことに驚きを隠せなかった。
「田宮…?」
「そ…そんなわけないだろっ!」
俺はわざと気付かれないように笑った。
いつから、こんな笑い方しか出来なくなったんだろう…いつも心に鎖が縛りつけられてるみたいだ。
─ギュッ
すると今度は久野が俺の手を握り返してきた。
歩くのを俺達は止め
そして、向き合った。
そのとき俺は目を合わせるのが怖くて、久野の顔が見れなかった。
今の俺は何もかも見透かされてしまいそうで…。